SIDE:A
第十三話
[1/8]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
「そんなこともあったわねぇ〜」
「もう半年も前の話になるのか」
ヒナタの家にお邪魔している俺たちは昔話に花を咲かせていた。丁度今から半年前のヒナタと俺がお見合いした日の話をしていたのだ。
ヒナタのご両親であるヒアシさんとミオさんが懐かしそうに目を細める。過去のヒナタが話題に出て、当の本人は顔を真っ赤にして俯いているけれど、本当にこういうところは昔と変わんないな。
ずずっと熱いお茶を啜ったヒアシさんが湯飲みを置いた。
「本当にハルトくんには感謝している。ヒナタを救ってくれたばかりか、宗家と分家の仲がここまで回復したのも全ては君のおかげだ。今だからこそ思うよ。宗家が分家に強いた運命は悪しき風習だったのだと」
改めて、本当にありがとう。そう改まって頭を下げるヒアシさんに習いミオさんも一緒になって低頭した。
「そんな、頭を上げてください! あれは俺が勝手にやったことなんですから。それに、結構生意気なことも言いましたし」
ぶっちゃけ、自分自身のためにやったようなものだし。感謝されるようなことじゃないと思うよマジで。
「いいや。あれがハルトくんの本心だったからこそ、皆の心に届き長老をも解き伏すことができたのだろう」
ヒナタの婚約者ということで分家の人などに挨拶回りをしていた時、ヒアシさんの双子の弟であるヒザシさんとも顔を合わせることとなった。見分けがつかないほど瓜二つの姿だったが、ヒザシさんは頭に必ず額当てを巻いていたため区別はついた。彼には一人息子がいて、名をネジという。
そのネジの存在を知り、彼の額に布が撒いてあるのを見て、俺はようやく原作にあった宗家と分家の溝を思い出したのだ。分家には全員額に呪印が刻まれている。この呪印は死亡すると血継限界の『白眼』を封じ込める仕組みになっているのだ。
しかし、それとは別に分家が宗家に逆らえないように、特殊な印を組むと呪印を持つ者の脳神経を破壊して苦痛を与えることができる。もちろん殺すのも容易だ。そのため、分家は宗家の都合のいい駒のように扱われ、時には宗家の身代わりとして死ぬのを余儀なくされることもある。
もしやと思ってヒアシさんに「分家の方々って皆、額を覆ってますけど何でですか?」と聞いたとき、この世界でも呪印が存在し、宗家と分家との間に分厚い壁があることを知ったのだった
今思えばちょっとした正義感があったかもしれない。それ以上にヒナタの婚約者として日向の宗家に歓迎され、ヒアシさんじきじきに稽古をしてもらい段々と日向家と仲良くなってきている身としては、宗家と分家のギクシャクした間柄っていうのが気になって仕方なかった。
ヒアシさんも日向の溝を気にしている
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ