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七色唐辛子
第五章

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「それの違いもわかるな」
「そうよね」
「本当にな、あとな」
「あと?」
「俺達はずっと唐辛子食ってるからな」
「タイ人だから」
「ああ、だからな」 
 タイ料理といえば唐辛子を多く使う辛い料理が代名詞だ、幼い頃から少しずつ慣れさせて食べているのだ。無論辛さだけでなく甘さも強いが。
「こうして唐辛子があってもな」
「食べられるけれど」
「慣れてないと結構辛いだろうな」
「それはそうね」
「国によって料理が違うからな」
「同じ連合の中でもね」
 三百以上の国がある、その国の中での話だ。
「色々なお料理があるし」
「そうだろ、辛くない料理の国も多いしな」
「香辛料を使っていても」
 唐辛子もそのうちの一つだ、香辛料の。
「それでもね」
「ああ、胡椒だの生姜だの山葵だのな」
「一杯あるし」
「タイ料理でも使うしな」
 唐辛子以外の香辛料もだ。
「唐辛子以外も」
「唐辛子が多くても」
「そこはそれぞれなんだよな」
「国によってね」
「もっと言えば人によって」
「味覚も人それぞれだから」
 シンラーも言う。
「本当に」
「そうなんだよな」
「けれどおおむねね」
「タイ人だからな」
 その唐辛子を多く使う料理を常に食べている人間だからというのだ。
「これ位は慣れてるがな」
「これだけ唐辛子を使ってもね」
「平気だがな」
「普通これだけ使ったらね」
「辛くて我慢出来ないな」
「そうよね」
 こうしたことを話すのだった、しかし。
 全部食べ終えた時だ、チャンコットは言った。
「辛かったな」
「そうね、流石にね」
「後が怖いかもな」
「おトイレがね」
「覚悟しておくか」
 食べ終えてからだ、妻にこんなことも言った。
「その時は」
「食べ終えられたけれど」
「唐辛子の量が多過ぎたな」
「実は普段の三倍は使ったの」
 シンラーはこのことも話した。
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