第一章
[2]次話
七色唐辛子
タイ料理は昔から辛いことで有名だ、その辛さは唐辛子を使っていることが大きい。
銀河の時代になるその唐辛子のバリエーションはかなり増えてだ。
チャンコット=アラゴーン=チャンクーは自宅のキッチンの数多くの種類の唐辛子をそれぞれ見てだ、その日に焼けた太った顔にある丸い目を瞬かせて妻のシンラー、自分と同じ四十歳だがまだ髪は黒々としていて黒い目は奇麗で皺一つない整ったその横顔を見つつ言った。
「唐辛子の種類も多いな」
「ええ、この通りね」
妻はその顔を夫に向けて答えた。テレビを観ていた横顔と同じく正面の顔も整っている。
「赤だけじゃなくてね」
「緑もあってな」
「緑の方が辛いわよ」
唐辛子はというのだ。
「これがね」
「そうだな」
「この二つは地球にいた頃から使われていたのよ」
人類、そしてタイ人達がというのだ。
「というか人類が地球にいた頃の唐辛子は」
「この二つだけだったな」
「赤と緑ね」
「それだけだったな」
「横断歩道の信号機と一緒よ」
こう例えて言うのだった。
「要するに」
「ああ、そういえばそうだな」
チャンコットも妻のその言葉に頷いた。
「赤と緑だからな」
「信号はね」
「横断歩道の信号は性格に言うと青だけれどね」
「緑も結構入ってるから」
信号の色にというのだ。
「青緑に近い青でしょ」
「だから緑って言ってもいいな」
「だからこう言ったのよ」
実際にというのだ。
「私もね」
「そうなんだな」
「それでね」
シンラーは夫にあらためて話した。
「今はね」
「二つどころじゃないな」
唐辛子の種類もとだ、チャンコットもテレビを観つつ答える。テレビでは歴史ドラマをやっていてタイの昔の服を着た美女が美男子と何やら話している。
そのドラマを観つつだ、チャンコットはこう言った。
「もうな」
「その青もあるし」
「純粋なだな」
「コバルトブルーのね」
その青のというのだ。
「唐辛子もあるし」
「星によってそんなのも採れるな」
「黄色も紫も橙もあるし」
「白も黒もな」
「色々な色の唐辛子があるわよ」
実際にというのだ。
「黄緑もね」
「虹の色全部揃ったな」
これまで話に出た色を思い出してだ、チャンコットはこんなことも言った。
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