暁 〜小説投稿サイト〜
止められない
第六章

[8]前話 [2]次話
「そこまでな」
「幾らあの城が堅城でも」
「囲まれてはやがて陥ちますが」
「大坂だけになっておりますし」
「それでは」
「小田原も陥ちた」
 天下の堅城、大坂城と同じくこう言われた城もというのだ。
「陥ちぬ城はない」
「決して」
「しかし茶々様はあの城は絶対に陥ちぬと思われておる」
「何もご存知ないからこそ」
「その様に」
「切支丹も同じじゃ」 
 ここで藤堂は彼等の話も出した。
「あの者達は民を奴隷として売っておるのだぞ」
「はい、太閤様が急いで買い戻されました」
「そして以後禁じられ」
「幕府もです」
「考えてからそうしました」
「民を奴隷として売る者達なぞ認められぬ」
 到底とだ、藤堂は大名として言った。
「茶々様はその切支丹も認められたが」
「大坂において」
「そうされましたな」
「あれも何もご存知ないからじゃ」
 切支丹のこと、そして政もというのだ。
「諌めようにもお拾様の実母であのご気質だからな」
「今の大坂には止める者もなく」
「切支丹も認め」
「そしてこの度もですな」
「籠城となりましたか」
「何も知らぬ方を一番上に置き誰も止められぬ」
 そうした状況では、というのだ。
「この度の戦もな」
「先が見えていますな」
「そうした方が豊臣家の実質的な主では」
「最早」
「何百万石、何十万の兵がいても同じじゃ」
 それこそというのだ。
「先は一つじゃ」
「ですな、では」
「我等も出陣しましょう」
「大坂に」
 藤堂家の者達も出陣した、そして籠城する豊臣方を囲んだ。真田丸においての真田幸村や番田右衛門の夜討ちもあったが。
 しかしだ、徳川方の大砲の攻めでだった。 
 茶々は城の中に砲弾が入り可愛がっていた侍女達が死んだのを見てだ、血相を変えて和睦を言い出した。
「はよう和睦せよ」
「馬鹿な、こんな時にか」
「ここで和睦か」
「ここで和睦なぞすれば徳川方の思う壺」
「茶々様は何を言われるのか」
「何もご存知ないのか」
 幸村や後藤又兵衛、木村重成といった面々は茶々は何を言っているのかと思った。それで反対したが。
 彼等の多くはこの前まで浪人であり完全な外様だ、前から大坂にいる者達も茶々に言えて止められるだけの力はない。それでだ。
 和睦となった、しかもここで徳川は堀を埋めることを和睦の条件に出したが。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ