第四章
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「あの堅城と大坂の地からな」
「幕府が大坂を手に入れれば」
「あの地から西国を治め米や銭を集められる」
瀬戸内の海に淀川や大和川を使ってだ、大坂は豊臣家だけでなく織田家も要地と見ていたのは水の便のよさと米や銭の集めやすさからだ。
「都にも奈良にも近い」
「あの地を手に入れれば」
「徳川家の天下は磐石となる」
「その為にも」
「大坂が欲しいのじゃ」
これが家康の考えだった。
「そして豊臣家が他の国の大名になれば」
「最早取り潰すまでの存在ではなく」
「天下にも置いておける」
「そういうことですな」
「だからわしは豊臣家を大坂から出したいのじゃ」
「それで済むからこそ」
「大坂が欲しいだけじゃ」
家康の本音であった。
「戦は本意ではない」
「左様ですな、しかし」
「茶々殿はそれをわかっておらぬ」
「それも何もかもが」
「一切な」
「それが為に」
「わしとしてもじゃ」
「戦にならざるを得ませんな」
「このままではな、既に天下は手に入れた」
同時に秀頼は天下人でなくなっている、これは最早明らかであり定まっていることである。
「そしてわしは大坂が欲しいだけじゃ」
「豊臣家は潰すまでもない」
「それを考え政を執っておるが」
「茶々様はわかっておられぬ」
「その為にな」
「こちらとしましても」
「このままではやるしかないわ」
戦、それをというのだ。
「困ったことじゃ」
「茶々様は今も大坂で怒り狂っておられるとか」
「何もわからずじゃな」
「はい」
「やれやれじゃ、誰も止められぬのじゃな」
その茶々をとだ、家康は苦々しい顔で言った。
「わしにはおるが」
「何かと」
「一の人には必要じゃ」
止める者がというのだ。
「わしにはそれが出来る多くの家臣達がおる」
「はい」
「だからここまでなれたが」
「しかしあの方には」
「おらぬ、誰もな」
「それではですな」
「戦の用意は常に考えておる」
茶々が何もわからないうえで止まらずその茶々を止める者が大坂には誰一人として戻らぬ状況ではというのだ。
「御主にも頼むぞ」
「わかりました」
藤堂は家康に確かな声で応えた、そしてだった。
茶々は秀頼が家康が新帝の即位で大坂から上洛する様に促された時も反対した、家康自ら大坂まで出向けというのだ。
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