第三章
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「安心して行け」
「それじゃあ」
こうしてだ、白梅も巣立った。そしてその翌年には菖蒲がだった。
行くことになったがだ、彼女は先の姉達と比べて落ち着いていた、顔立ちも冷静な印象である。それでだった。
父にもだ、こう言った。
「では行ってきます」
「そうか」
「はい、姉さん達もおられますね」
「ああ、元気だぞ」
二人共とだ、董勝は三番目の娘に答えた。
「あちらでな」
「ではまずはお義父様とお義母様にご挨拶をして」
「旦那様ともだな」
「幸せになります」
「それではな」
「行ってきます」
「ああ、しかしな」
董勝は三番目の娘の淡々とした態度にこう言った。
「随分落ち着いているな」
「不安になっても仕方がないので」
「だからか」
「はい、行ってきます」
こう言ってだった、菖蒲も嫁いだ。彼女の後は黄菊だが。
穏やかというかおっとりとした顔でありだ、父にもこう言うのだった。
「じゃあ行って来るわね」
「ああ、心配はないか」
「別に」
実際に何も心配していない顔だった。
「何もないから」
「そうか」
「うん、姉さん達もいるわね」
「三人共な」
「困ったことがあったら」
そうした時があろうとも、というのだ。
「姉さん達に聞くわ」
「だからいいか」
「お父さんから聞くことはね」
何も心配していない幸せそうな顔で話すのだった。
「全部聞いたし覚えたから」
「だからか」
「結婚しても心配しないから」
李家の四番目の息子と結婚してもというのだ。
「それじゃあね」
「ああ、幸せにな」
こうしてだ、黄菊も嫁いだ。そして最後の紅華となったが。
愛嬌がある顔の彼女は父にだ、騒がしい感じで言った。
「姉さん達に会えてずっと一緒に暮らせるのね」
「同じ家でな」
「早く会いたいわ」
姉達にというのだ。
「あのお家に行ってね」
「そうしてか」
「だって一人ずつ結婚していって」
そして李家に嫁として入ってというのだ。
「いなくなっていたから」
「寂しかったか」
「姉さん達が嫁ぐ度に私泣いていたから」
このことは実際にだ、紅華は姉達が嫁ぐ度に大泣きしていた。そして何時かは自分がと言っていたのだ。
そしてだ、今はこう言った。
「私もやっとって思うと」
「嬉しいんだな」
「うん」
実際にというのだ。
「本当にね」
「それじゃあか」
「姉さん達と一緒に行くから」
こう行ってだ、そのうえで紅華も嫁いだ。そして気付いた時は。
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