第三章
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「そうせよ、そして捕らえたならすぐに首を刎ねよ」
「わかり申した」
「それではです」
「すぐに太閤様が言われる通りにします」
「そして捕らえます」
そのうえで首を刎ねるとだ、秀吉の周りの者達も応えた。そうして実際に夜の大坂の暗い場所に人が秘かに配され。
刀を持っている怪しい動きの者達を捕らえた、それは二人いたが秀吉は二人の首をすぐに刎ねさせた、そうしてだった。
秀吉は傍の者達にだ、こう言った。
「これで話が終わる筈じゃ」
「下手人を成敗したので」
「だからですな」
「そうじゃ、桂松であったか」
秀吉はまだ怒っていた、そのうえでの問いだった。
「違ったであろう」
「はい、違いました」
「何処の馬の骨とも知らぬ者達でした」
「名を聞いても特に誰も知らぬ」
「そうした者達でした」
「ふん、そんな連中と桂松を一緒にするな」
秀吉は怒ったままだった、そのうえでの言葉だ。
「その様なことはせぬわ」
「それも一切」
「左様ですな」
「桂松殿への疑いは晴れましたな」
「これで」
「そうじゃ、わしの言った通りであろう」
秀吉は強い言葉で言った。
「全く、あれ程見事な者はおらん」
「間違っても辻斬りなぞされぬ」
「そうした方ですな」
「その通りじゃ」
秀吉の声はとかく強かった、そしてだった。
大谷への嫌疑は晴れた、彼はこの件とは全くの無関係だった。捕まり首を刎ねられた者達はどちらも彼とは縁も由もない者達だったからだ。
大谷は疑いが晴れたことを喜んだ、そのうえで彼の家臣達に言った。
「太閤様に助けられた」
「全くですな」
「あの方がすぐに動かれて」
「それで殿の嫌疑は晴れましたな」
「それも完全に」
「全て太閤様のお陰じゃ」
大谷は感慨を込めて述べた。
「このご恩忘れぬ」
「全くですな」
「いつも殿を引き立てて下さいますが」
「この度は救って頂きました」
「ご自身で動かれて」
「わしがそうしたことをせぬとご存知のうえでじゃ」
それでというのだ。
「仕込みをされて下手人を捕らえてくれた」
「実際にあの者達がですな」
「殿の悪い噂を流していた」
「そうなのですな」
「その様じゃな、しかし太閤様からのこの度のご恩も忘れぬ」
大谷は確かな声で答えた。
「何もかもな」
「ですな、殿の潔白を最初から信じておられ」
「そのうえで晴らして下さいました」
「これこそまさにご恩」
「左様ですな」
「だから忘れぬ」
決してとだ、こう言ってだった。大谷は大坂城の本丸御殿、秀吉がいる方に身体を向けて深々と礼をした。それは他の家臣達も同じだ。
大谷吉継が業病を患い辻斬りの噂があったことは歴史の書にある、そして秀吉は自ら大谷のその疑念を晴らした。このことも
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