第三章 X《クロス》
蒔風
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っただけだ。だから、今度も」
「・・・・・・そうかい・・・」
「今、お前の世界はお前の記憶の中にしかない。精一杯思い出せ。そして忘れるな。一つたりとも忘れるな。それがお前が背負うべきものだ。人殺しなんてそんなもんより、もっとずっと、お前は重いものを背負っていくべきなんだよ」
「・・・・忘れるなと?記憶の中で反芻し、決して届かぬ夢を見ろと?」
「お前も・・・・マイカゼシュンであるなら・・・・・!!!!」
蒔風が拳を握る。
「それを乗り越えて」
ギチリと蒔風の手が握り締める自らの握力で拳を固め
「強く・・・・この世界で生きやがれ!!!」
そして、その拳が「奴」の顔面をとらえ、ど真ん中に命中する。
「ゴッ!!?」
その一撃で、「奴」の体がすっ飛び、ゆらりと消えていく。
それに対し、蒔風が指差して言った。
「残った世界も使い果たし、きちんと「お前」として帰ってこい。お前が背負うのは、それからだ」
「・・・残酷だな・・・主人公」
「奴」がいう。
それはなんと、残酷なことなのだ、と。
だが、蒔風は首を横に振ってそれを否定する。
「いいや、残酷なのは、俺じゃないよ」
そういって、踵を返す蒔風。
そして斜め下を見ながら、吐き捨てるようにこういった。
「残酷なのは、世界だった。最初から、最期まで」
「・・・・そうか」
背後から、「奴」の気配が消える。
そして、その場所に一滴のしずくが、ぽたりと垂れて行った。
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「終わった」
「そ、そう・・・・」
「ん?どうした?」
林から出てきた蒔風に、皆が集まってジロジロとみてくる。
当の本人は最初からいたようにあっけらかんとしているし、どうにも現実感がわかないのだ。
「えっと・・・・・本物?」
「当たり前だ。お前らの願いが呼んだんだろうが」
「消えない?」
「消えない消えない」
手をひらひらと振って、蒔風がにやりと笑ってそう言う。
そして、全員が声をそろえて蒔風に叫んだ。
「「「「「「おかえり!!!!」」」」」」
「おう、ただいま」
蒔風舜が帰ってきた。
長く長く続いた、一つの因縁に終止符を打って。
直後、メンバーが次々に蒔風へと飛び込んでくる。
笑う者、泣く者、なぜか
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