第三章 X《クロス》
蒔風
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きてやる。そしたら今度こそ・・・・・」
「今度はない。そうだろ?」
「・・・・・」
「お前の中の「世界」は、すでにほとんどがお前の力と成ってしまっているはずだ」
「・・・・クソ・・・」
「奴」の中には、彼が元いた世界が渦巻いていた。
だからこその狂気、安定しない心情、容易に自分らしからぬ行動をとる。
その代償として、己を見失い、目的のためだけに爆走する。
しかし、ここまで「奴」という中にあって、その世界はただの力として還元されてしまっていた。
もう今更エネルギーを得ても、世界はかつてあった姿そのままには戻らないだろう。
だからこそ、彼は最大限のエネルギーを欲し、自らを主軸としてでも蒔風を呼び戻したのだ。
そこまでせねば、もはや元には戻らない。
「そうだ・・・次はない・・・・!!」
ガッ!!!
「だから!!俺は今に懸けるしかねぇんだよ!!!」
「奴」が立ち上がり、蒔風の胸ぐらをつかんで叫ぶ。
その顔は地面の方を向き、どんな顔をしているのかわからない。
そして、蒔風の顔を見上げてなおも叫ぶ。
「見ろ!!最初はメチャクチャだった俺も、今じゃこんなに「俺」だ!!世界の構成なんて、もう5%もない!!少しでもあるうちに、俺は取り返さなきゃならねぇんだ!!それがたとえ、誰かを殺してしまうという道であってもだ!!!」
そう、かつての「奴」は、すでにほとんど「マイカゼシュン」にまで戻っていた。
世界の構築に気付きながらも、現状が最高として特に動こうともしなかった青年。
さらなる高みのために、主人公を殺そうだなんて露とも思っていなかった男だ。
“LOND”の言葉に翻弄され、操られるかのようにその世界を手に懸けた男。
「“LOND”の野郎の言葉に我を見失ったのは俺の責任だ。そこを言い逃れする気はない。だから!!!だから俺がやらなきゃならない!!俺はどんなものを背負ってでも、世界を取り戻さなきゃならないんだよ!!!」
「・・・・・できない」
「ッ・・・・お前らの世界だってきちんと戻してやる・・・・このままにして返す。俺ならそれができる!!なぁ・・・・お前、主人公なんだろ?だったら、だったら俺の世界も救ってやってくれ・・・・・!!!」
「俺は・・・・・世界を救ったことはある。だが、その原点は世界のためじゃない」
蒔風が言う。
自分は世界のために戦った。しかし、それはあくまで結果でしかない。
「自分の世界の仲間のため。ほかの世界の仲間のため。自分の味方をしてくれる管理者のためだ。そのために世界を救わなきゃならないから、救
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