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風魔の小次郎 風魔血風録
96部分:第九話 夜叉の窮地その六
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第九話 夜叉の窮地その六

「竜魔!?」
「まさかここで」
「よく眠らせてもらった」 
 竜魔はすっと笑いながら風魔の同志達の間に出て来たのだった。
「蘭子には礼を言いたい」
「馬鹿な、どうしてここに出て来たんだ」
 霧風はいつもの何があっても動じない顔を怪訝なものにさせてその竜魔に問うた。
「御前はまだ」
「闘うことはできる」
 だが竜魔はその霧風に対してこう言うのだった。
「安心しろ」
「止めても聞かないみたいだな」
「俺もまだここに来てから試合では闘ってはいないからな」
「そういえばそうか」
「そうだ。だからやらせてもらう」
「ほお。サイキックはまだ使えるのか?」
「一応はな」
 陽炎に対しても答える。
「それで俺の相手は陽炎、貴様だな」
「風魔九忍筆頭の独眼竜竜魔」
 竜魔の通り名をあえて言ってみせる。
「貴様を倒せばこちらもしても大きい。望むところだ」
「夜叉八将軍の参謀陽炎」
 竜魔もまた陽炎をこう呼んだ。
「貴様とはいずれ真剣に闘うつもりだった」
「風魔の為か」
「そうだ」
 陽炎に対して答えた。
「貴様を倒せば。風魔にとっても大きい」
「それはこちらも同じこと」
 竜魔を見据えて言う。
「ここで倒す。覚悟しろ」
「行くぞ」
「霧風」
 小龍はここで霧風に声をかけてきた。
「では俺達は下がるか」
「そうだな」
 霧風も小龍の言葉に頷く。
「それではな。後は頼むぞ」
「これで夜叉との戦いにカタをつける」
 項羽は下がる二人の言葉を背中で受けながら述べた。両手はポケットにある。
「吉報を待っていろ」
「わかった、期待しておく」
 霧風が彼の言葉に答えた。
「では柳生屋敷でな」
「ああ」
 二人はそのまま姿を消した。後には竜魔と項羽、それと陽炎、妖水が残った。彼等はそれぞれ対峙しつつそれぞれの武器を構えた。
「さて、白羽陣を見せてもらうか」
 妖水はヨーヨーを弄びながら項羽に対して言ってきた。
「白虎をズタズタにしてくれたあれをな」
「望むところだ」
 項羽はそれに応えるようにしてその背中から無数の白い羽根を出してきた。それは忽ちのうちに彼の周りを覆うのだった。
「風魔白羽陣、貴様に敗れるか」
「これが白羽陣か」
 妖水は自分の周りも舞う白い羽根達を平然とした顔で見ていた。
「中々奇麗なものだな」
「ただ美しいだけではないのは知っていると思うがな」
「まあな。白虎から話は聞いている」
 また妖水の目が光った。
「下手に動くと危ないってな」
「それでどうするつもりだ?」
 項羽は問いながら妖水の様子を窺っていた。窺いつつ次の手も考えていた。
「動かないのなら動かないでこちらにもやり方があるが」
「俺を誰だと思っている」

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