第三章 X《クロス》
銀白
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倒れているもの
膝をついているもの
誰かを抱えるもの
その場にいるものはすべて、もう疲労困憊もいいところだ。
しかし、それでもその目は真っ直ぐにセフィロスを睨み付けていた。
クラウドは何も優秀な戦士ではなかった。
意気込んで村を出て、しかし大した戦士にもなれないでいた、ただの一介の兵士だった。
ただ、ある悲劇に巻き込まれてその身体を力魔洸漬けにされてここまで跳ね上げられただけだ。
そして記憶を失い、戦い、旅の過程で取戻し、それでも戦い続けていただけの男。
本来の彼は打たれ弱い、ただの青年でしかない。
そんな彼が、どうして星を救い、さらにはここまで戦い抜くことができたのか。
「大切じゃないものなんてない・・・・そして、俺の大切なものは・・・・・」
目の前にいる最強の英雄は、守ることを放棄し、攻め滅ぼすことを考えている。
守ることに苦悩したことがない。
自分の存在には悩み苦しんだ彼だが、それしかない。
彼の人生にはそれしかない。
しかし、こちらの戦士は違う。
自身の存在に悩み
護れなかったことを悔やみ
立ち上がることに苦悩し
そして剣を握ることに躊躇いを持って
そして覚悟してそれらを乗り越えてきたのだ。
英雄の乗り越えた階段は一段。
戦士の乗り越えた段数はそれ以上。
どちらが高みにいるかは、一目瞭然。
目の前の敵を倒し、撃ち破るだけなら英雄だ。
しかし、目の前の苦悩を乗り越え、そして苦しみの中を戦い帰還してきた戦士を
――――人は、それに敬意をこめて“英雄”と呼ぶ。
「オレの大切なものは、そう簡単に壊れはしない・・・・!!!!」
胸に手を当て、握りしめ、彼に赤き粒子が流れ込む。
チロチロと
ザラザラと
そして、一斉に流れ始めてきた。
「この量は・・・・!」
「・・・・あんたに見せてやる。立ち向かうということの、真の意味を・・・・!!!」
漆黒、立つ
乗り越え、さらなるものを求めるために
to be continued
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