第80話 愛想
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のような不思議な魅力な輝きを放つ眼を見詰めているだけで何か穏やかな気分になれた。
何でも出来そうな気がする。
「夢ねぇ......アンタに話して叶うなら苦労はないわっ」
「うわ、酷いな」
露骨に落ち込むララを見ているとなんだか元気が出て来て、グシャグシャとツンツンとした黒髪を撫で回した。
「?」
「しょうがないわぁ。友達になってあげるわよ」
「ほんとー!ありがとうね」
見た目相応の無邪気なララと居るだけで、愛想笑いじゃなくて本当に笑っていられる
そんな気がした
ララと過ごす日々が重なると警策は押し込めていた感情の封を徐々に解放していく。
歯車が狂い出したのは何でもない日だと思っていた日だった。
予定されていた実験が早めに終わり、警策は日課となっていたララの元に急いでいた。
今日は何して遊ぼっかな?
この前見せて貰った『すさのお』って凄かったわっ
「お邪魔するわ......ね」
「!?」
扉を開けると部屋で定期健診中だったらしいが普段実験し易い服装で隠されたララの胸部から腹部に掛けての部分が露わとなり生々しい褐色の傷痕に大小のシリンダーが突き刺さり、妙な経文のような文章が臍を中心に渦巻いていた。
「!?......」
咄嗟に口を抑えて警策は酷い有様のララの身体を直視し続けてしまった。
「やあッ!」
ララは聴診器を振り払い身体を実験着で隠した。
軽く震えているのが分かった......
あれだけ他人のご機嫌を取るのが板に付いて来たと豪語していた癖に本当に大事にしたい人の前だと固まって何も出来ない自分の醜態を見せ付けてしまう。
「そ、それって......」
やっと出て来た言葉がこれか
でも思い付かない......どうすれば良いのかなんて分からない。
部屋の出入り口で固まっている警策の腕を定期健診に来ていた研究者が溜息を吐きながら少し広めの場所へと連れ出した。
これは失望の表れだ
期待に添えなかった時の反応だ
分かり切ったように、悟ったかのように研究者を踏み台にしようとしていた自分の甘さが露呈して狼狽してしまう。
「今日は帰りなさい。あの子が治療でここにいるのは聞いていただろう?生活していくためには生命維持装置が必要なのよ」
生命維持......
本当に?
あれほどの恐ろしい装置を付けないと生きている事が出来ない身体なの?
あんなに元気で自分よりも真っ直ぐなのに......
学園都市で上手くやっていくには研究者に取り入るのが一番だ
邪魔立てなんてもってのほか......
警策は何故か特異な研究者である『ゼツ』が居座る部屋の前に案内された。
事実上の研究者のトップに君臨している異形なる者だった。
扉をノックするとすぐに「どうぞ」と軽い調子の返事
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