第三章 X《クロス》
忠犬
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だろ?』
「フ、もはや・・・・妄執ともいえるな。生き残ることしか頭にない、傲慢なプライドしか持ち合わせていない貴様には解らないさ」
足音とはもう到底思えない音が周囲を唸っていく。
そして
ドスッ!!
『がァッ!?』
「一刀閃、心刺し」
見えもしないコックローチアンデットの胸を、凩の刀が正確に捉え刺し貫いた。
切っ先についた血をビッ、と払い、鞘に納めるが、コックローチアンデットはまだ姿を見せない。
『こ・・・の・・・・その結果、邪神のための封印に取り込まれて!!己の種の繁栄よりも、こいつらの方が大事か!!』
胸を貫かれた程度ではまだ倒れないコックローチアンデットが、凩に叫び返した。
自分たちは己が種の繁栄のためにいるはずなのに、邪神とやらの封印の捨て駒にされた。
それでいいのか。許せるのか。
繁栄のチャンスもなく弾かれた自分たちに、そしてお前に、怒りはないのか、と。
それに、凩は誇りを持って答える。
「我が一族は古くから彼らとともにいた。共に生きてきた。共に歩んできた。これまでも、今も、そして、これからもそれは変わらん!!」
『繁栄こそが生物の生きる理由!!それを放棄した貴様の方が、俺たちよりもよっぽど歪んでいる!!』
「・・・・そうかも、しれん。しかし私の魂は」
『あん?』
「貴様のようなドブ臭さは放っていない」
『・・・・・』
「ま、不死にそんなものがあるのなら、な」
『魂?誇り?信念!?臭え臭え・・・・そんな臭えセリフ、吐いてんじゃねぇ!!』
――――――――――――――――――――――ッッッ!!!!
もはや音すらもない。
凩と長岡の周囲を、とてつもない速さに到達したコックローチアンデットの残像による黒い帯が覆い、今まさに襲いかかろうと拳を握る。
風が、凩の肌を薄く裂いていく。
しかしそれは命に届くことはない。
「・・・・・」
凩が、その場に座り込む。
片膝をつき、もう片方をおろし、きれいに正座へと。
そして―――――――――
「死ィッ!!!!」
ゴォッッッ!!!
そして、その残像のベルトの中からコックローチアンデットが飛び出して
チンッッ・・・・・
そんな音だけが、静かに響いていた。
その状況を見ていた、スバル・ナカジマは後にこう語る。
―――真っ直ぐ見ていた。
だが瞬きをした瞬間に、それはすでに
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