第三章 X《クロス》
忠犬
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、その状況でも一切怯む様子は見られない。
ビッ!!
と、そうしてから十秒ほどで凩の真正面にいきなり黒い塊が出現した。
コックローチアンデットが投げ放ってきたのだろう。
しかし
シュチン――――!!!!ドドンッッ!!
構えもなく立つ凩が、気づかないほどの一瞬で動いた。
長岡の少し後ろの左右で爆発が起こり、凩の腕はまっすぐ伸び、その手には刀が鞘に納められまっすぐ縦に握られていた。
「な・・・に!?」
「居合、縦一文字」
コックローチアンデットの目にすらも捉えきれない縦一閃。聞こえたのは音のみ。
構えの動作も、抜き放った刀身すらも見ることなく、凩はそれを真っ二つに切り裂いていた。
「解っていないようだな。我らは不死だ」
「だからどうした」
「だからこそ。我らには確固たるものが必要なのだと」
「だからそれがなんだってンだ!!!」
パァンッッ!!!
音速を超えたその音を上げ、コックローチアンデットが再び消えた。
もはやクロックアップや風足、加速開翼ですらとらえきれないほどのスピードで動き出したコックローチアンデット。
地面を蹴るごとにその場が抉れ、跳ねればクレーターのように窪んでいく。
風すらをも置き去りにする速度で、コックローチアンデットが凩の周囲を撹乱し始めた――――!!!
「凩!?」
「離れないで、そばにいてください。主」
その中心にいる長岡をそばに寄せ、凩が周囲を見渡すように首を回す。
『見えねェだろ!?声を聴いて居場所を特定することすらままなるまい!!』
「・・・・そうだな」
『はっは!!これが我が力!!太古より生き延びてきた、我が一族の集大成!!』
どこからか――――というより、この空間自体から響くようにコックローチアンデットの声が聞こえてくる。
もはや音からのサーチは無理だ。
しかし、凩に一切の緊張はなく、淡々とコックローチアンデットに話しかけていく。
「我らは不死だ。「死」という物がない。ゆえに、そこに覚悟はない」
『だからどぉした。だからこいつらよか強いんだろが!!』
「・・・・それがない以上、「誇り」と「信念」しか残らぬ我らは、それを強く持たねばならん。生き抜く「覚悟」がない以上、貫く「信念」と抱く「誇り」をより強くしなければならない。ゆえに、私は仕えることにしたのだ。本来三本で支えるものを二本で支えあわねばならんのだから、それを強くしなければならないのは当然」
『は、何言ってんだ。だったら一本だけメチャクチャ強くすればいい
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