第三章 X《クロス》
敗北
[2/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
向けてポーン、と高く投げ放った。
放物線を描いて落ちていく恋の体。
それをキャッチしようとし、クラウドが走り出す。
最初に行っておこう。
今投げられたこれは、恋ではない。
無論、コックローチアンデットが言っていたことも途中までは本当だ。
恋は満身創痍の体でアンデット十五体を相手にしてイリヤを守っていた。
そしてこいつと遭遇して、負け、奪われたのも正しい。
しかし、恋はそのままそこに放置され、イリヤだけは他のアンデットに渡して離脱させている。
ではこの場にあるこの恋は何か。
正解は――――とても気持ち悪いものだが、すべてゴキブリだ。
それが固まって恋の姿になっているに過ぎない。
こいつの考えとしては、こうして放ればクラウドは必ずこのように駆け込んでくる。
しかし、これはゴキブリの塊。キャッチした瞬間にザーーーーッ、と一気にぶちまけられるだけだ。
それによって全員の体がコンマ一秒でも止まれば、観鈴から少女たちを奪える。
クロコダイルアンデットに至っては最悪見捨てても構わない。
そしてその思惑通り、今クラウドは恋に向かって駆け出した。
後はキャッチさえしてくれれば、それで終わりだ。
そう思っていた。
だが
「翼人に人質は効かない」
スッ、と
その言葉を発しながら、クラウドがその恋を素通りし、まっすぐにコックローチアンデットへと突っ込んで向かってきた。
恋の体はというと、観鈴の衝撃波でうまくふわりと浮かされたのち、そのすべてがグシャリと潰されて一匹残らず駆除されてしまっている。
「なぁ!?」
「それが恋でないことは――――」
「最初からわかってたよ!」
翼人に、人質は効かない。
あくまでも基本的に、だが。
二人は、コックローチアンデットがこの恋を出した瞬間こそびっくりしたが、瞬時にそれが何かの擬態であることを見破っていた。
そして、あの取引。
明らかにこちらの意表を突くつもりだ。
だからこそ乗り、こうして裏をかいた。
翼人に、このようなコスイ手は通じない。
「終わり・・・・だ!!」
「ちょ、勘べn」
ドゴォァ!!!!
「なに!?」
「おぉう!?」
が、そこに巨木が床から飛び出してきて、二人の間を遮った。
おそらくはブロッサムアンデットによるものがここまで侵食してきたのだろう。
だが、そのいきなりの登場に対し、クラウドらとコックローチアンデットの頭の中は違った。
どちらも同時に考えた。
こ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ