第四章
[8]前話
「寝られなくて汗でね」
「もうびしょびしょかな」
「そうよ」
まさにだった。
「シャワー浴びたいわ」
「僕もだよ」
「じゃあ一緒に浴びる?」
私は上体を起こして彼に顔を向けて誘いをかけた。
「そうする?」
「そうだね、じゃあね」
「一緒に浴びてね」
「それからだね」
「朝御飯よ」
その時間だと思った、シャワーを浴びた後は。
「それじゃあね」
「また今日もね」
「暑い中で楽しもうか」
「そうしましょう」
あえて暑い場所に来たからにはだった、私達は徹底的にそうするつもりだった。
そして軽い朝御飯を食べてまたビーチに出た、海の水は冷たいけれど。
日差しは強くて空気も暑い、日本にいるのとは全く違う。その暑い世界をこの日も楽しんだ。私達にとって最高のバカンスだった。
そして日本に帰るとだ、私は空港に降り立ってすぐに感じ取ったことを言った。
「涼しいわね」
「そうだね」
「日本も真夏の筈なのに」
その筈だというけれどだ。
「涼しいわね」
「やっぱりあれだね」
「そうね、今まで暑い場所にいたから」
ニューカレドニア、そこにだ。
「それが急に日本に戻って」
「飛行機でね」
「だからね」
「涼しいって感じるね」
「あなたもよね」
「うん、今は涼しいよ」
彼は微笑んで私に言った、二人共ニューカレドニアから帰ったその時のままのラフな服装だ。目にはサングラスがある。
「僕もそう感じるよ」
「やっぱりね」
「そう、そしてね」
それにというのだ。
「その日本に戻ってきたけれど」
「今日はまだオフよ」
私も彼もだ。
「そうでしょ」
「明日からだよ、仕事は」
「じゃあ今日はまだオフだから」
「暑い思いをしようっていうんだね」
「ええ、そうしましょう」
彼に顔を向けて笑顔で提案した。
「今日はね」
「じゃあ僕の部屋か君の部屋で」
「暑い時間を過ごしましょう」
「バカンスの続きだね」
「今日もまだオフだから」
それで、だった。
「そうしましょう」
「そして思いきり汗をかいて」
「暑い中で楽しめばいいわね」
「暑いなら暑いことを楽しむ」
「バカンスならね」
「その為のバカンスだったし」
「今もオフだから」
少なくとも今日中はだ。
「暑い中でね」
「暑い思いをして」
「二人で楽しみましょう」
このバカンスをとだ、日本に帰ってもだ。
私達の夏は最高に暑い夏だった、そして最高に楽しい夏だった。この夏は彼と一緒になってからも今も思い出であり続けている。素晴らしい思い出の一つとして。
百度のバカンス 完
2016・9・25
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