第三章
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「最高の気持ちよ」
「そうだね、日本の夏に飲むよりもね」
「こうしてここで飲む方がね」
「美味しいね」
「ええ」
彼に笑顔で答えた。
「本当にね」
「そうだね、もう一杯飲みたいね」
「そうね、じゃあもう一杯」
「そしてさらに一杯」
「どんどん飲みそうね」
「そして酔って」
「また暑くなるね」
彼は飲む私に笑って言った、カクテルと一緒にあるフルーツまでもが美味しい。南国のそのフルーツ達もだ。
「そうなるね」
「そうね、こうなったら」
「とことんまでだね」
「暑くなりたいわ」
「昼も夕方も」
「そしてね」
「夜もだね」
まさにだった。
「暑くなりたいね」
「ずっとね、じゃあホテルに帰ったら」
「今度はお酒も飲まないけれど」
「二人でね」
「暑くなりましょう」
「そうなる為にも」
カクテルをくい、とまさに一口で飲み干してだ。彼は私に言ってきた。
「今は徹底的に飲もうか」
「酔い潰れない位に」
「そうならない位にね」
「暑くなる為にも」
「熱くなろうね」
「そういうことね」
二人で話してだ、そして。
二人でカクテルを何杯も飲んでだ、ホテルの部屋で一緒に夜遅くまで楽しんだ。そして朝起きると私も彼も。
ベッドで汗だくになっていた、私は汗で濡れた身体にまとわりつく自分の髪の毛を見て横に寝ている彼に言った。
「起きてる?」
「起きてるよ」
返事はすぐに来た。
「というかもうね」
「クーラー効いてる筈なのに」
「暑くてね」
「あまり寝られなかったわね」
「夜遅かったのにね」
「そうだね」
「ええ、私もね」
仰向けに寝ていた、二人共裸だ。特に私は何も着ていない。考えてみればこんな姿で寝たのははじめてだった。
「殆ど寝ていないわ」
「そうだね」
「もう暑くて」
まさにそのせいでだ。
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