第一章
[2]次話
百度のバカンス
私は彼に春にこう言われた。
「一度とんでもなく暑い場所に行かないか?」
「沖縄とか?」
暑い場所と聞いてだ、私はまずあの場所を連想した。
「あそこに行くの?」
「いや、もっと暑い場所だよ」
「じゃあ外国ね」
「南国のね」
「具体的には何処なの?」
私は彼にさらに聞いた、春なので暑さとはまだ無縁だけれどその中で夏の話をした。
「一体」
「だからとびきり暑い場所だよ」
「そう言われても色々な場所があるわよ」
一口に暑い場所と言われてもとだ、私は彼に言った。
「本当に」
「そうだけれどね」
「そこまでまだ考えてないのね」
「とびきり暑い場所は考えてるけれど」
「じゃあ何処がいいかしら」
「例えばニューカレドニアとか」
天国に一番近い島からの連想は明らかだった。
「あそことかタヒチとか」
「その辺りね」
「どうかな、それで」
「どうかって言われても」
私も返答に困った。
「今から決めるにしても」
「さて、何処がいいか」
「まあ夏に暑い場所に行って」
そしてとだ、私も彼に言った。
「ビーチでバカンスを楽しむことはね」
「いいね」
「それは同意よ、けれどね」
「それでもなんだ」
「具体的に何処かは」
まだだった。
「決められないわよ、今いきなり言われたから」
「ううん、唐突だから」
「思いつき過ぎるわよ、東尾さんじゃあるまいし」
東尾修さんだ、私はろ所沢生まれなので西武ファンだ。毎年優勝して百貨店はバーゲンになって何取りだ。
「そんなこと言っても」
「僕はヤクルトファンだから」
「ヤクルトで突拍子のない人いないし」
「池山さんがそうかな、とにかく今年の旅行は」
「思いきり暑い場所ね」
「火山みたいな」
こうした例えも言ってきた。
「行きたいけれどね」
「じゃあね、やっぱり赤道ね」
「そっちだね」
「その辺りに行きましょう」
「じゃあ行くのは」
彼は私にあらためて言ってきた。
「ニューカレドニアかな」
「そこにするの」
「どうかな」
「じゃあそこにしましょう」
私は彼にあっさりと答えた。
「ニューカレドニアにね」
「そこにするんだね」
「あそこも思いきり暑いから」
「うん、じゃあ旅行の手配はしておくよ」
「お願いするわね」
こうしてだった、私達は夏のバカンスにニューカレドニアに行くことになった。そして夏のそのバカンスの時にだった。
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