0022話『心に傷を負った少女』
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の提督と同じようになってしまうと思う」
「なんでっ!?」
七海ちゃんは怒りを顕わにしながらも私に問いかけてくる。
だから教えてあげる。
「七海ちゃんの深海棲艦を倒したいという気持ちはわかる。
だけどね、それだけじゃきっと七海ちゃんは憎しみに身を任せて艦娘のみんなを深海棲艦を倒すための兵器として運用しちゃうかもしれない。
それはきっとその提督と同じことになってしまう」
「………」
七海ちゃんはそれで思い当たる節があるのだろう、唇を噛みしめながらも私の話を聞いてくれていた。
「深海棲艦への憎しみを消せって言っているわけじゃない。
だけど、それ以上に憎しみで行動しないでこの町のみんな、残された家族、友達…なんでもいい。
守れるものを一つでも見つけてほしい」
「守れるもの…」
「そう。守れるもの。七海ちゃんにも家族はまだいるんでしょう?
まずはその大事な人達を守れるように、そして七海ちゃんのようにこれ以上憎しみを抱く子を産みださないように頑張っていこう」
それで七海ちゃんの表情はどこか先ほどより険は消えていた。
代わりにある事を聞いてきた。
「…お姉ちゃんは大事な物ってあるの?」
「もちろんあるよ」
そう言って私は朝潮の頭に手を乗せる。
「この子達艦娘も私の大事な仲間で、そして家族だ」
「司令官…」
「だから私はこの子達と一緒に頑張っていける限りは道を踏み外さない。
そして同時に市民の人達も守れるような人物になりたいと思っている。
…こんな甘っちょろい志しは生ぬるいのかもしれない。
でも、それが今の私のやれる全力だから」
そこまで言って七海ちゃんはそこで初めて笑顔を浮かべて、
「お姉ちゃん、立派なんだね…。
私、そこまで全然考えれていなかった。深海棲艦への復讐の事しか考えてなかった。
でも、そうだよね! こんな事をしてもお母さんは喜ばないよね!」
「そうだよ」
それで七海ちゃんの頭をもう一度撫でながらも、
「だから、七海ちゃんも道を踏み外さないように頑張ろうか」
「うん!」
それで七海ちゃんはすっきりとした顔になりながらも腕を振って「また会おうね、提督のお姉ちゃん!」と言って家へと帰っていった。
それを見送りながらも、そこでやっと言葉を発せたのだろう、久保提督が口を開き、
「…感服しました。榛名提督の想いもしっかりと聞けて良かったです」
「うん。雷、感動したわ!」
「司令官…。朝潮、そこまで想われていてとても嬉しく感じました」
「そうか…。よかった」
それで久保提督と話し合って定期的に町へと顔出しをしようという事で話がついた。
とても有意義な一日だと感じれたのはよかったな。
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