0022話『心に傷を負った少女』
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そうかい。それと漁に出る時は声をかけるがいいかい?」
「はい。護衛はお任せください」
「任せたぜ」
それで魚屋のおじさんが一匹袋に魚を入れて私と久保提督にお裾分けしてくれた。
「わっ! 大丈夫ですか?」
「なーに、気にすんな。あんた達のおかげでこれから漁は安心してできるんだから前払いと思っておきな」
それで久保提督とともに感謝の言葉を述べた後、私達は集会の場所へと向かっていた。
「…ですが、よかったのでしょうか?
榛名提督の鎮守府ならまだしも私の鎮守府にはまだそんなに艦娘が集まっていませんから船団護衛はまだできるほど練度もありませんし…」
「いいじゃないですか。これもこれから頑張っていけばどうにでもなります。
私の鎮守府だって最初は弱小だったんですから。ですから気にしても損だけですよ」
「そう、ですね…」
それで話が着いたところで、ふと前の道に一人の女の子が歩いてきた。
歳は十歳くらいでどうにも寂びれているような表情でどこか暗い雰囲気を連想させる。
その深い眼差しが私達を映したのを感じたのを次の瞬間にはその女の子は私に向かってきた。
「…ねぇ、お姉ちゃん達って提督の人…?」
「そうだけど、お嬢ちゃん。あなたのお名前は…?」
「…七海。七つの海って書いて七海」
「七海ちゃんか。それで、どうしたんだい…?」
七海ちゃんは私がそう聞くと少し目つきが険しくなった。
これはなにかあるなと予感めいたものを感じた。
「…深海棲艦を倒してほしいの」
「どうして…?」
「私のお母さんは二年前まで鎮守府で酒保で働いていたの…」
二年前…。それで思いつくのは昨日の話。
鎮守府で働いていたという過去形のセリフ…。
そこから導き出される答えは…。
「もしかして、君のお母さんは…」
「うん。深海棲艦の鎮守府への襲撃で死んじゃった…」
それで私と久保提督、朝潮と雷は少し苦虫を噛み潰した様な表情になる。
この子はその当時の無能だった提督のせいで亡くなったんだ。
「私のお母さんは死んじゃったのに…どうしてあいつは生き残っているの…?」
あいつというのは提督の事だろう。
「だから、私は将来提督になって深海棲艦を倒す仕事に就きたいと思っているの」
「それは…」
久保提督も分かったのだろう。
この子の心には憎しみの炎が滾っているのを。
でもこのままではいけない。
所詮他人事だから出せる手には限度がある。
だけどこの子の事を放っておけるほど私は薄情じゃない。
だから、
「七海ちゃん、一ついいかな…?」
「…なに?」
私は七海ちゃんの頭に手を乗せながらも、
「きっと、七海ちゃんはこのまま成長して海軍に入ったとしても、根拠はないけどそ
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