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風魔の小次郎 風魔血風録
93部分:第九話 夜叉の窮地その三
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る。そうして退室するのだった。陽炎は朧に姿を消し妖水は空気を切り裂きその中で消えた。二人がいなくなると壬生は武蔵に声をかけてきた。
「武蔵、気にすることはない」
「そうか」
「あの連中はわかっていないだけだ。御前のことを」
「俺にとってはどういうことはない」
 しかし武蔵の言葉は変わらない。態度も。
「御前も気にするな」
「そうか」
「ではな。俺も少し行かなければならない場所がある」
 こう言って姿を消したのだった。彼もまた。
 壬生は一人部屋に残った。しかしここで彼も夜叉姫に声をかけられるのだった。
「貴方も行きなさい」
「はい」
「貴方とその黄金剣の力、期待していますよ」
「有り難き御言葉」
「貴方は私のたった一人の弟」
 壬生をこうも言うのだった。
「その貴方のことを最もよくわかっているのは私です」
「姉上・・・・・・」
「だからこそ。この闘い」
「はっ、何があろうとも」
「頼みましたよ」
「はっ」 
 これで話は終わった。壬生も退室する。氷が砕けた時夜叉姫は一人席に座った。それからチェスを再開しそこで思索に耽るのだった。

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