ターン71 鉄砲水と優しき闇
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「魔法カード、レア・ヴァリューを発動。君がボクの場の宝玉から1つを選んで墓地に送る代わりに、カードを2枚ドローする。さあ、どれがいいか選んでもらって構わないよ」
「どれにしたって大して変わらないだろうに……エメラルド・タートルを選ばせてもらうよ」
「いいだろう、2枚ドローだ。これでターンエンド」
清明 LP900 手札:3
モンスター:グレイドル・スライムJr.(守)
シャークラーケン(攻)
魔法・罠:なし
ユベル LP4000 手札:2
モンスター:究極宝玉神 レインボー・ダーク・ドラゴン(攻)
魔法・罠:宝玉獣 ルビー・カーバンクル
宝玉獣 アメジスト・キャット
1(伏せ)
場:アドバンスド・ダーク
思わぬ追撃により、ほぼ初期値だったはずのライフが1ターンでわずか3ケタにまで削られてしまった。だけど……そんな思考は、突然聞こえてきた声に中断せざるを得なくなった。
「清明!ユベル!」
「「十代!」」
ユベル城に突然現れたのは、十代とクロノス先生、それに翔。ヘルカイザーの姿が見えないことに対する不安が胸をよぎったが、今はよりにもよってユベルと台詞がハモったことの方が気に喰わない。でも、向こうも向こうで同じことを思ったのかすっごい不愉快そうな顔になるのが見えたから良しとしよう。十代に会えた嬉しさからか、先に苛立ちを抑え込んだユベルがにっこりと笑う。
「ああ、やっと来てくれたんだね、十代……!」
「ユベル!これ以上俺の仲間に手を出すな!」
その声の調子を聞いて、なんだか肩の荷が一気に下りたような気がした。ヘルカイザーが十代にどんな荒療治をしたのかはわからないが、どうやらよほどうまくやってくれたらしい。ここまで力のこもった十代の声は、随分久しぶりに聞く気がする。これならもう、僕が気を揉む必要はなさそうだ。
「もういい、清明。ユベルの相手はこの俺が……」
「まあ待ちなよ、十代。悪いけど今は僕とユベルのデュエル中なんだ、順番待ちなら後ろで並んでなって」
……ただし、心配をやめるのとデュエルの中断は全く別の話だ。意外な答えに言葉を失うギャラリーに、ちょっと振り返って笑いかける。呆然とした顔でこちらを見ている十代と目が合うと、なんだか無性におかしくなった。
だがあいにく、肝心の対戦相手の方はそんなこと欠片も思ってくれていなかったらしい。
「……何のつもりだい?十代が来たのなら、もう君なんかに用はない。特別に今ならとどめは刺さないで置いてあげるから、早くサレンダーするといい」
この闇のデュエルが日常の世界であのユベルにここまで言わせるとは、一体どれだけ十代との勝負を心待ちにしてきたのだろう。僕から見ても破格の条件での譲歩ではあるが
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