ターン71 鉄砲水と優しき闇
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れを拒否するのはいくらなんでも虫がよすぎるというものだ。そもそも僕は本当なら、もう3年も前に死んでいるはずの身。それがあれだけ全力で戦って、その上で負けたんだ。負けたという結果自体に不満はあれどデュエルそのものに悔いはないし、そのリスクも受け入れたうえで戦っていた。
それにここで僕が倒れても、まだ大本命の十代が残っている。きっと十代なら何とかしてくれるだろう、そんな甘えもあったかもしれない。遠くでその十代が何か叫んだ気がするけど、何を言ったのかはよく聞こえない。それでも消滅の影響で早くもぼやけかかってきた視界に、彼が走り寄ってくるのは見えた。
「清明!」
「よっ。悪いね十代、まーたヘマこいたよ」
「何言ってるんだ、馬鹿野郎!」
あらら。あまり深刻になってまた面倒なことになられても困るからできるだけ軽く退場しようと思ったのに、どうやら逆効果だったらしい。重くなっていく体をどうにか動かして、肩をすくめて笑ってみせた。十代の肩に手を置き、その目を正面からまっすぐに見る。
「やっぱりヒーローの真似事は、僕には少し荷が重かったのさ。駄目だねー、やっぱり……でもまあ、できるだけのことはやっておいたさ。後は本職に任せるから、絶対生き残ってよ。親友」
まだ何か、最後にユベルに捨て台詞のひとつでも言ってやろうかとも思ったけど、残念ながらそれ以上は口が動かなかった。
あれだけやりたい放題に暴れまわった割には、意外なほどあっけなく。こうして僕の存在は、この精霊世界から消え去った。
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