ターン71 鉄砲水と優しき闇
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破壊する暴君の力に巻き込まれ、フィールドに残っていたツーヘッド・シャークまでもが破壊される。再びリセットされて誰もいなくなったフィールドを、ユベルがその一つ目で睥睨する様が見えた。
清明 LP900 手札:4
モンスター:なし
魔法・罠:1(伏せ)
ユベル LP2900 手札:2
モンスター:ユベル−Das Abscheulich Ritter(攻)
魔法・罠:2(伏せ)
「僕のターン!」
結局、あのユベルが持つ効果の全貌はまだ不明のままだ。あれだけ大掛かりに攻撃力0のモンスターを出しておいて、まさか肝心の効果が全体破壊のみなんてことはないだろう。最低限、戦闘ダメージを0にする効果ぐらいは受け継いでいるはずだ。
なら、次は戦闘破壊ができるかどうか試してみようじゃないか。
「シャクトパスを召喚!そのまま攻げ……!」
き、と言い切る寸前、これまで感じたこともないほど嫌な予感がして言葉が詰まった。攻撃しようとしていたシャクトパスも、突然固まった僕を気遣うように伸ばそうとしていたタコ足をひっこめる。
その瞬間僕の脳裏をかすめたのは、あのウラヌスの死。自分の攻撃を自分で受けたような不自然な傷痕。そして次に、砂漠の異世界でラビエルから聞いた言葉がリフレインする。
『奴は確かに強い、だが同時に、奴は誰よりも弱い。奴の最大の強みはその弱さにこそあり、それゆえもし私が奴と会いまみえることがあれば、奴に対し私は特に敗北するだろう』
あの時のラビエル渾身のポエム、そしてウラヌスの傷。攻撃力0であるにもかかわらず戦闘ダメージを0にする、噛み合ってはいるがまるで戦闘することを前提としているかのようなユベルの効果。そうか、そういうことだったのか。どうしてあんなに時間はあったのに、今までわからなかったんだろう。
「……やっとわかったよ、ユベル。お前がなんなのか」
「へえ?じゃあ、その推理を聞かせてもらおうか」
「ユベル、お前の能力は反射。戦闘ダメージだけを跳ね返すのか、攻撃そのものを跳ね返すのかまではわからないけど、とにかく攻撃を仕掛けた瞬間僕にその痛みが降りかかる。それも自分から攻撃した場合には発動しないけど、相手に攻撃された時なら使うことのできる、ね。違う?」
「……いつ気づいた?」
にやにや笑いをひっこめ、スッと真面目な表情になって問いかけるユベル。あの反応から言って、やっぱりそういうことなんだろう。
「むしろ今まで気が付かなかった僕が馬鹿だったんだけどね。でも不用意にウラヌスの攻撃を、よりにもよって僕の目の前で反射して見せたのはまずかったね。あの時ウラヌスは命を賭して、僕に最大限のヒントを与えてくれたんだ」
「あの時か。君が絡むとどうも判断ミスが多くなるな。だが、今更それに気づいた
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