ターン71 鉄砲水と優しき闇
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意識をはっきりさせるためか首を振りつつこちらのフィールドに戻ってくる。なるほど、少しわかってきた。魔法カードによる破壊なら、イーグルは寄生効果を発動できない。それが狙い……いやでも、まだわからない。戦闘を行ったことでユベルの破壊も確定したというのに、なぜ笑っていられるのだろう。
「エンドステップ、ジェノサイド・ウォーの効果が発動する。君のグレイドル・イーグルと、ボク自身にこの痛みが降りかかるのさ」
もしかしたら、とも思ったが、特に効果破壊耐性を持つわけでもないらしい。溶け崩れて消えていくイーグルと共に、ユベルがあっさりと自壊していった。
だがその時、フィールドをアドバンスド・ダークよりもさらに濃い闇が包んだ。ますます暗くなっていく闇から、何かおぞましい存在がこちらを見下ろした。
「これは……!」
『それ』を一言で表すならば、2足歩行する双頭の竜といったところだろうか。ユベルと同じ濃い紫色の被膜の翼に、肉食恐竜のそれを思わせる強靭な脚。全身は毛皮と筋肉に覆われ、太い尾が背後にちらちらと見える。
だが、僕がそれを見て寒気がしたのは、そんなよくある身体的特徴からではない。『それ』には眼がある……当然竜の頭部にもそれぞれ2つずつ付いてはいるが、あれが本当に見えているのかは疑わしい。なぜならば、体の中央少し上、首の付け根。そこに、赤く光る巨大な一つ目が鎮座している。自身の巨大な手の中にすら納まるか疑わしいほど巨大なその目が生きている証拠にピクリと下に動き、そこにいた僕を見下ろした。その時そこを通じて見えたのは、冷たく暗い知性の光……そしてそれこそが、僕の寒気の原因。あれは、間違いない。あれは……ユベルだ。
「この痛みにより、ボクはこの醜くも美しい姿に進化する。デッキより出でよ、ユベル−Das Abscheulich Ritter!」
ユベル−Das Abscheulich Ritter 攻0
一体何をどうすれば、まだ辛うじて人型だったあの存在がこんなモンスターに変異するのだろう。それがわからないからこそ背筋が凍り、同時になにか恐ろしい闇の世界が垣間見えた気がした。チャクチャルさんに聞けば、何か教えてくれるかもしれない……いや、やめておこう。いくら僕でも、首を突っ込むべきでない世界があることぐらいはわきまえている。
「カードを2枚伏せる。見せてあげよう、進化したボクの力、この忌まわしき騎士の力を!ユベル−Das Abscheulich Ritterの効果発動、自分のエンドフェイズごとにフィールドに存在する自分以外すべてのモンスターを破壊する!フェロー・サクリファイス!」
「ツーヘッド!……クソッ、仲間?そんなもんがどこにいるって?」
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