ターン71 鉄砲水と優しき闇
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。問答無用で次元の狭間に飛ばされでもしたら、さすがにどうしようもなかったろう。互いに下手に動くこともできず、舞台を挟んで睨み合う……そんな状態を先に解いたのは、意外にもユベルからだった。
「ボクとしては、このままこうして千日手の睨み合いを続けていてもよかったんだけどね。少なくとも退屈していたうちは、それだけでもそれなりに楽しめたはずさ。でも今言った通り、ボクはこれから忙しいんだ。力づくで消えてもらえないなら、別の手を使うまでさ」
言いながら、ヨハンの体でデュエルディスクを構える。今回はアモンに憑いていた時のように、あの化け物の腕を出すつもりはないらしい。
僕もデュエルディスクを展開させ、首から下げておいた水筒の中身を全部その上に振り掛ける。ついさっきのアモン戦だけでだいぶ水を使ってしまったから、この水筒の分だけでもないよりはマシだろう。これで、あと1戦するぐらいはできるはずだ。
考えてみるとこれだけ振り回されてきたのに、その張本人のユベルと直接戦うのはこれが初めてだ。もう何も、言うことはない。この長かったユベルとの戦い、その最終決戦と洒落込もう。
「「デュエル!」」
「先攻は僕が貰った。グレイドル・イーグル、守備表示!」
いつも通りの銀色の水たまりが、素早い動きで空中へはばたく黄色の猛禽に姿を変える。アモンがグレイドルのことを知っていたことを考えると、ユベル相手にも初見殺しは通用しそうにない。ならばわざわざセットするだけ無駄なこと、それよりもユベルがどんな手を打ってくるかを見るとしよう。
グレイドル・イーグル 守500
「ターンエンド」
「ボクのターン、ドロー。フィールド魔法発動、アドバンスド・ダーク!」
まるで分厚い雲でも空にかかったかのように、足元がすっと暗くなる。だがもちろん、そんなものは空のどこにもない。それどころか、見渡す限り太陽なんて始めからこの空間には出ていない。
「アドバンスド・ダークがあるかぎり、ボクの使う宝玉獣は全てA宝玉獣へと変化する。実際に見せたほうが分かりやすいかな?出ろ、A宝玉獣 アメジスト・キャット!」
ヨハンの体を使う時点でなんとなく予想はできていたが、やはり出てきたのは宝玉獣。場に紫色の宝石……アメジストが現れ、それが弾けてピンク色の雌豹になった。だけど、あのアメジスト・キャットは、僕が知っている彼女とは違う。赤く光る眼に敵意むき出しの牙、そして何よりヨハンの宝玉獣は、宝玉からモンスターになる際に闇の力を放ったりはしなかった。
宝玉獣 アメジスト・キャット 攻1200 地→闇
「属性が変わった……?」
「そうとも。A宝玉獣は宝玉獣とは違い、全ての属性が闇に統一されている。これも悪くない輝きだろう?ヨハンの記憶によ
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