第一章
[2]次話
月・影・舞・華
まさかだった、こうなるとは思ってもいなかった。
憧れの沼倉千鶴さんに告白をした、ここまでもまさか自分にここまでの勇気があるとは思っていなかった。
そしてその千鶴さん、高校の先輩にはいと言ってもらえるなんて余計にだった。僕は思ってもいなかった。
けれど千鶴さんは僕にこう言ってきた。その奇麗なお顔で。
「貴方みたいな子がね」
「まさ」
「ええ、そうなのよ」
赤らんだ笑顔で言ってきた。
「タイプなのよ」
「そうだったんですか」
「だからね」
それでというのだ。
「私の方もね」
「ってことは」
「ええ、一緒にね」
交際してくれるというのだ、こうしてだった。
僕は千鶴さんと付き合うことになった、そして学園生活だけでなくてだ。
休日もデートを楽しむ様になった、僕は遊園地でまただった。
首を傾げさせてだ、一緒にベンチに座ってソフトクリームを食べている千鶴さんに愛して言った。その楚々とした人に。
「何かこうしてです」
「デートしていることが?」
「いえ、何か何まで」
デートだけでなくだ。
「信じられないです」
「そうなのね」
「はい、告白してです」
「交際して」
「一緒になんて、ただ」
このことははっきりとわかった。
「現実なんですよね」
「頬っぺた抓ってみる?」
「いえ、何度も抓りました」
今朝もそうした、千鶴さんとの遊園地でのデートなんてそんな夢みたいなこともと思ったからだ。
「けれど」
「そうよね」
「はい、目が覚めませんでした」
「現実よ」
実際にというのだ。
「現実よ」
「そうですよね」
「こうしたこともあるのよ、私だってね」
今度は千鶴さんから僕に言ってきた。
「今の状況はね」
「夢みたいですか」
「ええ、いきなりタイプの子が前に出て来て自分を好きだって言ってくれたのよ」
アイスを舐めながらにこにことして言ってきた。
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