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風魔の小次郎 風魔血風録
84部分:第八話 聖剣伝説その七
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もりはない」
「そうか」
 武蔵のその言葉を聞いて静かに頷く。見ればどういうわけかその足が宙に浮かんでいる。
「ならわかった」
「前を向け」
 武蔵はまた竜魔に告げる。
「背中から狙う趣味はない」
「潔いと言うべきか」
「そう言うのなら言うといい。少なくとも今のままの貴様には剣を振るうことはない」
「そうか。ならば」
 竜魔はそれに応えて振り向いた。それと共に木刀を出してきていた。
「行くぞ。夜叉は貴様を倒せばその力が大きく落ちる」
「言っておくが俺もまたそう簡単にやられるわけにはいかない」
 二人は剣を手にしつつ対峙する。その中での言葉だった。
「事情があるのでな」
「事情か」
「そうだ」
 答える武蔵の脳裏にあることが思い出された。それは誠士館に雇われた時のことだった。
 彼はその時夜叉姫の前にいた。その傍には壬生が控えていた。
「飛鳥武蔵ですね」
「はい」
 武蔵はチェスが置かれた卓に座る夜叉姫の問いに答えていた。

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