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ドリトル先生と悩める画家
第一幕その六

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「これから」
「よし、行こう」
「丁度先生に何処か行こうって思ってたし」
「それじゃあね」
「今から行こう」
「美術館までね」
「そうしようね」
 皆も笑顔で応えてでした、そしてです。
 動物の皆も一緒にです、美術館に行きました。そして美術館の紅の絨毯の床を進みつつです。動物の皆は先生に浮世絵を見つつ言うのでした。
「カラフルだよね」
「浮世絵の色使いってね」 
 オシツオサレツも言います。
「鮮やかっていうか」
「原色をふんだんに使ってね」
「絵のタッチも独特だけれど」
 チーチーも絵を観ています。
「色使いが凄いんだよね」
「パンクというかアバンギャルドっていうか」
 ガブガブはこう表現しました。
「奇抜な奇麗さね」
「歌舞伎そうだけれど色使いが凄いんだよね」 
 トートーは学園の劇場でも上演される日本の伝統舞台のお話もします。
「赤も白も黒も青も黄色も全部使ってね」
「模様や配色は滅茶苦茶目立ってて」
 ダブダブは歌舞伎役者の浮世絵を観ています、それは暫というとんでもないまでに異様なお侍の絵でした。
「こんなの他の国にないよ」
「ピエロよりも凄いわ」
 ポリネシアはお国の芸人さんのことを思い出しました。
「この色使いは」
「どうやったらこんな色使いを思いつくのか」
 ジップは首を傾げさせています。
「それがわからないよ」
「芸術は爆発っていけれど」
「こんな爆発はそうないわね」
 チープサイドの家族も言います。
「鮮やかで派手で」
「それでいて調和が取れていて」
「派手に奇麗だけれどね」
 ホワイティは今は先生の頭の上にいます。
「ただそれだけじゃないね」
「浮世絵を見ていると」
 最後に老馬が言いました。
「この世のものには見えないよ」
「そう、浮世絵というか江戸時代の文化はね」
 先生は歌舞伎も含めて皆にお話します、先生は今は富士山の浮世絵を観ています。夕暮れの中にある赤い富士山をです。
「日本文化の爛熟期の一つでね」
「色合いもなの」
「こんなに派手なの」
「浮世絵といい歌舞伎といい」
「そうなの」
「庶民文化が豊かになっていてね」
 そしてというのです。
「徹底的に派手になってね」
「それでいて調和が取れていて」
「奇麗だね」
「まさにパンクかな」
「これは」
「うん、パンクかというとね」 
 それはとです、先生は皆のその言葉に応えました。
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