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殺人鬼inIS学園
番外編:殺人鬼の昔話2 下
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主は、例え全裸になっても外さない鉄の兎耳カチューシャを揺らしながら端末から入ってくる情報をチェックする。かつて自らが組み上げたプログラムが、世界のあらゆる場所から発信された情報を拾い上げ、重要そうなものを主である自らに報告してきたのだ。

 ──今回も大した事ないや。

 そろそろこの役立たずな情報ばかり集めてくるおせっかいなプログラムを消去すべきかどうかを考えかけた時、ふと目に止まった記事があった。自らの故郷で行方不明者が出てしまったという知らせだ。普段の彼女なら気の迷いとして次の情報に目を通すのだが、この情報は一般メディアではなく政府内での極秘情報処理端末から拾ってきた一報である。只の人間一人の行方不明をここまで内密に扱っている事に言い様のない違和感を覚えた少女は、自らキーを叩いて情報収集に乗り出した。
 数時間後、少女は大体の全容を把握すると、黙って情報収集プログラムを削除した。なんてことはない、いつもどおりの有象無象の失踪記事だ。この女尊男卑の世界において男の失踪なぞ珍しくない。どうせ愚か者に因縁をつけられて秘密裏にもみ消されたかのだろう。
 苛立たしげにベッドに寝転ぶ少女はしばらく瞠目していたが、ついに自らの胸に小骨のごとく支えている不快感の正体について、遂に気づくことはなかった。

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