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SAO−銀ノ月−
襲撃
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だ」

「言っただろ? 腕試しだよ」

 ただ、それでも腹を蹴りつけられた痛みはどうしようもない。日本刀《銀ノ月》の柄を握っていない方の手で腹を抑えながら、息を整えつつもエイジに問いかけるが、返答は先と変わることはなく。

「そうだな……あとは聞きたいこともある!」

 そして次の瞬間、エイジの声は隣から聞こえてきていた。まるで瞬間移動のような速度に驚愕しながら、上段に振られた片手剣を日本刀《銀ノ月》が鍔迫り合いに持ち込んだ。とはいえどちらも刀身はARによるもののため、鍔迫り合いは視覚上におけるもののみで、本来は拳と拳がぶつかり合っているのみなのだが。

「っ……!」

 そんな鍔迫り合いだったが、徐々に押し込まれていたのはこちらだった。どうやらあちらの方が単純に力が強いようで、これがランク二位の恩恵かと舌打ちを一つすると。エイジがこちらの舌打ちに反応した瞬間、そちらが先にやったんだとばかりに、エイジの膝に蹴りを叩き込んだ。

「チッ」

 弁慶の泣き所を蹴られたためか、鍔迫り合いを中断して引いたのは、有利だったはずのエイジだった。ただし逃がすことはなく、引いたエイジをそのまま追撃すると、面を打つようにエイジの頭に向けて日本刀《銀ノ月》を振りかぶった。

「そこ!」

 もちろん大袈裟に面を打とうとしたところで、エイジに防がれるのは確実だったが、最初から狙いはがら空きの腹部を狙うこと。お互いに武器が上段で鍔迫り合いをしている最中、先の意趣返しとばかりにエイジの腹部に向けて鋭い蹴りを放っていた。

「随分、分かりやすいことをするじゃないか」

 ただしその蹴りは、最初からどこに放たれるか分かっていたかのように、エイジの片手にあっさりと受け止められてしまう。逃げようとするもまるで万力に挟み込まれたかのように足は動かず、そのままゆっくりとエイジの人間離れした握力に握り潰されるかのように、捕らわれた足が軋みだしていった。

「……離せ!」

「言われなくても」

 俺の足を掴んだエイジの腕を、日本刀《銀ノ月》でもって斬り裂かんとしたものの、その前に俺の身体はエイジによって中空に投げだされていた。片腕で人間を1人分空中に投げだす力に驚く間もなく、とにかく頭や腰をコンクリートに打ち付けないよう、日本刀《銀ノ月》を鞘にしまい込んで全ての神経を集中する。

「ガハッ!」

「呆気ないな」

 なんとか受け身を成功したものの、倒れ伏した俺に対して。痛みに耐えながらもなんとか四つ足でしゃがみこんだ瞬間、エイジの片手剣が俺の首元にそっと置かれていた。これから一歩でも動けば首を跳ねると言わんばかりであり、事実、俺はエイジの余裕しゃくしゃくな笑みを見上げることしか出来なかった。

「それでもあの《銀ノ月》かよ?
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