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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第三十一話 イゼルローンにて(その1)
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良い。こいつらの胡散臭そうな顔を見ると気が滅入るよ……。

「卿らの指揮官は誰です」
「……」
今度はお互いに顔を見合わせた。利敵行為になるんじゃないかと心配でもしているのか……。

「オフレッサー上級大将が居るのは分かっています、リューネブルク准将もね。他には?」
また顔を見合わせた。皆訝しげな表情をしている。

「他には居ない。二人だけだ」
長身が答えた。少し訛りが有る、おそらくは辺境出身だろう。
「間違いありませんか?」

俺の問いかけに長身は頷いた。ラインハルトの名前が出ない、俺の勘違いか……。だとすると誰があのミサイル艇の攻撃を見破った? リューネブルク? いや、見破ったのはラインハルトのはずだ。だが此処にいないとすれば奴は何処にいる?

まさかとは思うがミュッケンベルガーの傍か……。だとするとこちらの撤収作戦を見抜くのは間違いない。作戦は失敗か? どうする? 別な脱出法を考えるか? このままだとラインハルトは俺達を餌に同盟の主力艦隊をおびき寄せようとするかもしれん……。

「あの人の事を言ってるのかな?」
怪我をしている男が首を傾げながら呟いた。
「あの人とは誰です?」

俺の問いかけにまた三人が顔を見合わせた。
「あれは艦隊指揮官だろう、装甲擲弾兵とは関係ない」
「そうだぜ、大体あれは飾りだろう? 艦隊指揮官なのに出撃も許されないそうじゃねえか」

長身と体格の良い男が口々に否定した。なるほど彼らの間ではラインハルトは飾りか……。だから居ないと言ったのか……。
「もう一人いるのですね。誰です、それは」

「……ミューゼル准将。でもただの飾りだ、出撃を許されなくてリューネブルク准将とつるんでいる」
「姉が皇帝陛下の寵姫だからな。小僧のくせに准将閣下だぜ」
「リューネブルク准将は亡命者だから友達がいないのさ、だからあんな小僧とつるんでいるんだ」

相変わらず人望が無いな、ラインハルト。だが問題はそこじゃない、ラインハルトはやはりリューネブルクと繋がりを持った。どういう関係になるのかは分からないが厄介だな……。

「今、彼は、ミューゼル准将は何処にいます?」
「オフレッサー閣下、リューネブルク閣下と一緒にいるさ」
「装甲擲弾兵を指揮しているのですね」
「指揮なんかしてないさ、小僧に出来るかよ」

体格の良い男が露骨にラインハルトに対して反感を表した。今のラインハルトには実績は無い。出撃を止められおまけにまだ准将という中途半端な地位だ。この男が反感を示すのも無理はないだろう。

知りたいことは分かった。今のところはこちらの想定内だ。ラインハルトはミュッケンベルガーに対して影響力は持っていない。とりあえず此処を凌げば撤収は可能だろう。後はシェーンコップの力量次第だ、心配は
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