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虚弱ゲーマーと似非弁護士の物語 −求めたのは力では無く−
Act5 憤怒の進軍
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濃厚なのさ」

 質問されたのはファブリスだが、直接調査したのは士郎なので、代わりに答えました。
 その答えに涼風はまた燈と同じように口を閉ざします。
 この話はそれだけヘビィーなので、ファブリスの言う通り、一般人として今まで生きて来た2人には無理らしからぬ反応と言えるでしょう。

 「それらの情報をもとに推察するに、レクト・プログレスの一部が極秘に研究しているのは、ズバリ人格の完全操作技術のための人体実験だネ。まあ、この手の研究はもう十年以上前から世界各国で極秘に為されているんだが、如何あっても人体実験がどうしても必要不可欠でネ。あまり進んでいないのが現状なのさ。それを完成させたとなれば、大国アメリカを問わず、他の先進国どころか、この日本のある組織からしても、喉から手が出るほどの垂涎モノだろうさ」

 ファブリスの説明で、さらに重くなる空気。
 そこで、今度は燈がその口を開きます。

 「で、でも、世界樹の上には空中神殿が有るって・・・」
 「その手の説明だけで誰も見た事は無いのだろう?しかも関係者以外誰も来れない区画が有れば、そこは人体実験場には最適だろうさ。つまりあるのは空中神殿では無く、非人道的な研究施設と言う線が濃厚だろうネ」
 「ちょっ、ファブリスさん!」

 さらっと言い切ったファブリスを士郎は制止しようと動きつつ燈をチラ見します。
 燈があのゲームにハマっているのは、多くのプレイヤー達と同じく飛べるからだと知っているからです。
 ですが飛行時間を無限にするには、グランドクエストを攻略する以外の道はありません。
 そのいずれは飛び続けられる日を夢見ていた燈を含むプレイヤー達の足元を、根こそぎ崩すデリカシーの欠片も無い真実に近い現実だったからです。

 「今更誤魔化しても仕方ないだろう」
 「ですが・・・・・・」

 士郎の視線は、恐らく気落ちしているであろう涼風と燈の2人に注がれています。
 如何慰めようと思案している所に、いきなり大声をあげて燈が立ち上がりました。

 「だーーー!くよくよウジウジシテるなんて、私らしくない!こうなったら戦争だ!騙していた運営側に目にもの見せてくれるっっ!そうでしょうね!?涼風ちゃん!」

 名前を呼ばれた涼風は立ち上がる事はしませんでしたが、顔を挙げたその瞳には強い眼差しが宿っています。

 「ああ、私達の心を弄んだ罪を償わせなければならないな・・・!」
 「そうと決まれば帰ってログインして世界樹攻略の最終準備だ!じゃあ私、先に言ってるよ涼風ちゃん!」

 どりゃー!と気合が入った声を上げながら、喫茶店から出て行く燈。
 そのあまりの勢いに呆気に取られていた3人だったが、士郎はどちらに聞かせるわけでもなく、ただ呟きます。

 「行ってしま
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