1st season
3rd night
[4/4]
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な減速をしないようにスピードを維持し続ける。
「千代田抜けて江戸橋なら勝負ができる……それまで粘るしかねぇよナ」
心に余裕を残すための薄笑いは崩さず、それでいてギリギリまで自身を追い込む。少しでも前へ。相手より早く、長くアクセルを。
そして、予期せず訪れた命の千代田トンネル出口。見えてきた長いシルエットは長距離観光バス、かわせるのは一車線。そこに先に飛び込んだのはRX−8だった。
「オイオイオイ、死ぬぞアイツ」
「それならそれだけのドライバーってわけだ」
エスプリのドライバーはアクセルを緩め、疾風の後ろについた。そこで先に入られても、立ち上がり加速で追いつけるという自信があったからだ。しかし、運命は彼らに味方はしなかった。RX−8が抜けたときにはいなかったタクシーが、エスプリの前を塞いでいた。
「「ウッソだろオメー!」」
揃った声がエスプリの車内に虚しく響く。余儀なくペースダウンを強いられ、クリアになった視界には、もうRX−8の姿はなかった。
つっかえたエスプリをバックミラーで見た疾風は、哀れに思いながらも気にするそぶりを見せず加速していく。
「あらまぁ……まぁ、そんな日もあるさ。ここはそういう場所だ。別に一般車が通っちゃダメなんてルールじゃない。俺達がバカ騒ぎするのを許してくれる時間、ってだけだからナ」
悠然とRX−8はダッシュする。エンジンを冷やすためのパーキングエリアに向かって。
「無理は禁物、それがロータリーと長く付き合うための鉄の掟。そして、ここで死なないためにもナ。実際にセブンオシャカにしちまった人のいうことだから、重みが違うわナ」
そんな彼が、パーキングエリアを探しながらインプレッサ22BとランエボVにちょっかいをかけたのは、ただ単に自身の熱が冷めきっていなかったからだ、と後にこぼした。
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