1st season
3rd night
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しつつも、以前とは違いオーバーヒートにはならず、一定の水温と油温を保っているとは彼の弁。
「まぁええけどな。俺も車持ってきてるから、練習したかったんやけど」
「アホか。田舎の山でケツ振ることしか考えてないマシンこんなとこに持ち込んだところでぼろ負け必須やて」
「せやからワレ前の車からこいつに乗り換えたんか」
「せやで。お前もMR2乗り続けるんなら、脚のセッティングとかはせめて見直さなアカンわなぁ」
「オドレに言われんでもそれくらいするわな……ん?」
助手席の青年が、後ろからのパッシングに気づく。
そこに現れたのは、黄色のRX−8、「雷光の疾風」だった。正面に見えたエスプリにパッシングをしかける。
「冷却弱いんはロータリーの宿命ってなぁ……んなことは耳タコだっての。それでも俺は、こいつじゃなかったら意味がねぇんだヨ」
以前はオーバーヒートで「流離いの天使」とのバトルを降りざるを得なかった。そんな彼が今宵最初のターゲットとして選んだのは、たまたまそこにいたというだけのエスプリだった。
「さてお前さん、ちょいとばっかり付き合ってもらうヨ?」
霞が関トンネルに入ったところから二台ともエキゾーストが変わる。とはいえコーナーが続くため、それほど全力で加速するわけではないが、動きがはっきりと変わる。
「おい、なんか来たで」
「ほおぅ、エイトかいな。カモにしたろ」
ハザードで応え、横並びになって二台同時に加速。鳴り響くロータリーサウンドとV8サウンドが共鳴する。
「やっぱりな、この辺で走るなら多少無茶しても全然ヘタレん。たいしたもんやでこいつ」
「まぁ、そらそうよ」
「とはいえ、もっと高速ステージに持ち込んだらわからんけどな」
ステアリングを握る腕に力が入る。視線も自然と鋭くなり、さらにペースを上げていく。
「こいつやりおるなあ、「Fine Racing」のヌルい連中とはちゃうで」
「とかいって負けんなよオメー」
「突っ込むぞ、つかまれッ!」
霞が関トンネルを抜けるが、二台の間にはまだ明確な差はついておらず、二台はさらにヒートアップする。
「こいつはまた……面白くなってきよったで!どんなもんか見せてみいや!」
挑発的なエスプリとは違い、疾風にはあまり余裕はなかった。
「このまま引っ張るとまたこっちが先に熱ダレ起こしちまう……せめてその前には……」
両者もつれあいながら千代田トンネルに入る。エンジンそのものの性能差が出づらいエリアであるがゆえに中々明確な差は付かない。とはいえミッドシップモデルであるエスプリの方が立ち上がり加速は一歩速く、RX−8はコーナー入り口でのブレーキポイントとラインを探りながら無駄
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