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風魔の小次郎 風魔血風録
77部分:第七話 力と力その十三
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第七話 力と力その十三

「あんな楽しいことははじめてだ」
「それでお別れは告げたのかい?」
「一応はな」
 劉鵬らしい返事であった。物静かだが律儀な。
「だから。これで終わりだ」
「何かな。あれだな」
「あれ?」
「そうだよ、あれだよ」
 小次郎はまた劉鵬に言う。
「青春だよな」
「青春か」
「だってそうだろ。スポーツに友情って」
 それを羨ましそうに、楽しそうに語るのだった。小次郎の目は遠くを見ている。
「まんまじゃねえか、それってよ」
「そうなるのか」
「ライバルもいていい勝負があって。完璧じゃねえか」
「そうか、あれば青春か」
「なあ劉鵬」
 ここまで話してあらためて劉鵬に声をかけてきた。
「今度は何だ」
「俺達にも青春ってあるのかな」
 それを劉鵬に対して問う。
「俺達忍にも。どうなのかな」
「あるだろうな」
 これが劉鵬の返答だった。
「当然な」
「そうか。あるのか」
「仲間がいて戦いがある」
「戦いも青春っていうのかね」
「俺はそう思う。青春は一つじゃない」
 こう小次郎に語るのだった。
「現に小次郎」
「何だよ」
 劉鵬の言葉に顔を向けた。
「御前、今は楽しいか」
「ああ、楽しいぜ」
 すぐに劉鵬の問いに答えたのだった。
「何だかんだでな。風魔も大好きさ」
「じゃあそれが青春だ」
 劉鵬は言った。
「今そう思えること自体が青春なんだよ」
「そういうものかね。俺の今も青春か」
「そうだ。そして俺達忍は」
「俺達忍は?」
「それを守ることも勤めのうちだ」
 今度の言葉はことさらしっかりしたものだった。劉鵬らしい言葉だった。
「守ることもな」
「そうか。そうだよな」
 聞いていてそれに納得するのだった。
「俺達はその為にここに来ているんだしな」
「そういうことだ。じゃあ小次郎」
「ああ」
「戻るぞ」
 こう小次郎に告げた。
「蘭子さんとこのお屋敷にな」
「ああ。しかしよ」
「何だ?」
「蘭子って和食ばかりだよな」
 こう言って少しぼやくのだった。
「それが何かな」
「御前和食嫌いか?」
「っていうかよ。たまにはラーメンでもよ」
「じゃあ自分で作れ」
 実に冷たく突き放す。
「インスタントでもな」
「竈でインスタントラーメンかよ」
「別に作れないわけじゃないだろ」
「御大層だよな。しかしあいつもまあ」 
 ここで言葉が少し変わった。
「古風だよな、何かと」
「それはあるな。意外とな」
「まあいいさ。じゃあ戻ろうぜ」
「ああ、俺達の青春にな」
 こう言い合って二人で戻る。風魔はまた勝利を収めることができた。しかし戦いはこれからであり夜叉も切り札を切ってきたのであった。その聖剣を。



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