73部分:第七話 力と力その九
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第七話 力と力その九
「おい黒獅子」
「劉鵬か」
「またコンビニのおつりか?」
「あ、ああそうだ」
劉鵬に顔を向けて必死の顔で答える。
「それがどうかしたか?」
「いよいよだな」
彼は今度はこう黒獅子に述べた。
「勝負の時はな」
「一週間後だ」
彼は劉鵬のところにやって来た。そのうえで今度は彼の方から言ってきた。
「一週間後。勝負だ」
「容赦はしないぞ」
「容赦?それは日本語か?」
あの不敵な笑みを劉鵬に向けての言葉だった。
「完膚なきまで叩き潰すという言葉なら知っているぞ」
「言うな。ではこちらもそうさせてもらう」
「貴様の力、どれだけのものか見せてもらう」
擦れ違う。そのうえでまた言い合う。
「俺のこの手でな」
「その言葉、そっくり返させてもらおう」
「では。見せてもらおう」
こう言い合い勝負の前の舌戦を終えた。そして試合のその日。白凰と誠士館での激突の場において。壬生は腕を組み戦局を見守っていた。隣には武蔵がいる。
「壬生」
「どうした武蔵」
「御前はこの勝負どう見る」
「互角だ」
壬生の返答はこうだった。
「実力はな」
「互角というのだな」
「そうだ。劉鵬も黒獅子もその実力はかなりのものだ」
こうも述べる。
「そのレベルでの互角だ。力も忍術もな」
「ではどちらが勝つかわからないか」
「武蔵、一つ言っておく」
「何だ?」
「私は今回何もしない」
「そうか」
壬生のその言葉を受けたうえで頷く。
「何もしない」
「何もしないか」
「二人の勝負、見守らせてもらう」
「向こうには風魔の奴等もいる」
見れば観客席には風魔の面々がいる。会場には劉鵬と小次郎がいる。夜叉側には黒獅子がいる。彼等は互いに不敵な笑みで見合っていた。壬生達は観客席にいるのだった。
「手出しはしないのか」
「奴等もわかっている筈だ。余計な手出しは無用だとな」
「確かに」
彼の横にいる陽炎が応えた。妖水もいる。
「黒獅子ならば問題はあるまい。楽しい勝負になるな」
「さあ、どうなるかな」
妖水はもう楽しそうに試合がはじまるのを見守っていた。
「面白いことになりそうだぜ」
「そろそろはじまるぞ」
武蔵が彼等に告げた。
「試合がな」
「それではだ」
壬生がここで立ち上がった。
「私は下に行く」
「そうか」
「手出しはしないがな。不埒な者がいては夜叉の名折れになる」
「あくまで忍同士の戦は正々堂々」
陽炎の言葉だ。選手同士の試合は違うということだろか。
「そうだな、壬生よ」
「陽炎、策略は無用だぞ」
「生憎俺は今度の作戦には関わっていない」
平然とした調子で述べる。その右手の扇を煽りながら。
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