第百八話 プールサイドからその三
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「そうしたら?」
「いや、それは」
「しないの?」
「中学の頃酷い話を聞いたから」
僕は顔を曇らせてテレサさんに話した。
「それで自分からは言えないんだ」
「酷い話って」
「先輩がいたんだ、三年上の」
「今は大学生ね」
「その人と親しい人から聞いた話なんだ、その人が凄く苦い顔で言ってたよ」
酷い話だと僕に前置きしてだ、そして話してくれた。
「三年上の先輩、Aさんとしておくね」
「Aさんね」
「本名は違うけれどね」
本名は先輩から教えてもらってけれどだ、先輩から他言するなと僕に一対一会話した時に言ったので二人にもこう言った。
「そのAさんが友達にある人が自分を好きだと言ってるって言って」
「そうなの」
「そう、それでね」
「それで?」
「告白しろって急かされたけれど」
「ああ、わかったわ」
「私もね」
二人共だった、イタワッチさんもだ。
嫌な顔になってだ、僕に言った。
「実は好きじゃなくて」
「振られたのね」
「そして告白しろって言った相手は逃げた」
「手の平を返して」
「そうしたんだ、それでAさんはね」
その人はどうなったかもだ、僕は話していて嫌なものを口の中に感じつつ言った。もっと言えば頭の中にも感じていた。
「その失恋のことをずっと周りに言われて」
「それ辛いわね」
「かなり」
「うん、だからね」
それでだったのだ。
「三年間孤独で、その先輩は違ったけれど」
「友達もなのね」
「自分達が煽ってけしかけたけれど」
告白する様にだ。
「自分達まで女の子達に言われると思ってね」
「逃げたのね」
「自分達は」
「縁を切ると言ってね」
本当にこう言ったらしい。
「後は手の平返しだよ」
「最低ね」
ここまで聞いてだ、イタワッチさんは蔑んだ目と声で言った。
「それはまた」
「そうだよね、本当にね」
「自分達が言ったのに」
「その娘が好きだとか言ってね」
「実は違ったたのよね」
「Aさんは当時太ってたらしくてね」
どうもそうらしい、先輩のお話だと。
「それでデブは嫌だってね」
「それでなのね」
「振られたんだ」
「じゃあ最初から好きじゃなかったのね」
「うん、それでAさんは三年間酷いことになったよ」
何しろ三年間友達がいなかったのだ、このことを言われて言われたくなくて人を避けてそうなっていたらしい。
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