非常事態
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ここにいる魔導士たちの・・・いや、恐らくフィオーレ中の全ての魔導士と比べても間違いなく最強と言えるであろう脅威の戦士が、俺たちが考えていたよりも重症であることを知らされた。
「全身の靭帯が損傷してて、内蔵にもかなりのダメージを受けてました」
「正直よく生きてるなってレベルなの」
聞いたところによると、彼は今回のダメージだけでなく、以前霊峰ゾニアで戦った謎の男から受けたダメージが残っていたらしく、体中至るところに損傷が見られ、二人の治癒魔法でもどうしようもないレベルらしい。
「ウソ・・・レオンが・・・」
それにはここにいる全員が驚愕する。まさか彼がこんなところでリタイアするとは・・・
「どれくらいで回復できると思う?」
重苦しい空気の中、倒れた氷の神のいとこが口を開く。その質問の回答に、全員が期待の眼差しを向ける。
「わからないです」
「そもそも回復できるかもわからないし・・・」
「そんな・・・」
下手したらこのまま一生目覚めない可能性すらあるってこと?それを聞くとますます全員の表情が曇っていく。
「そうか・・・無理か・・・」
髪をかきながら難しい顔をするリオンさん。しばらくの沈黙・・・すると、部屋の外が騒がしくなっているのが聞こえてくる。
「なんだ?こんな時に」
非常事態である今の状況で一体何をそんなに騒いでいるのか、半ば苛立ってきているカグラさんが扉を開き外の様子を見る。
「な・・・」
その直後、彼女の表情が一変した。
「ユキノ!!」
そして扉を叩き開くと騒ぎの方へと駆けていくカグラさん。それに何なんだと重たい腰を上げて様子を見に行くと、その光景に絶句した。
「ウソ・・・」
俺たちの目に映ったのは傷だらけで倒れているミネルバさんとユキノさん。そして彼女に支えられていたと思われるジェニーさんの三人が、王国兵たちから声をかけられているところだった。
「「「「「・・・」」」」」
誰も一言も話さない、沈黙の時間。どれくらいの時間が経ったのであろうか、俺たちはあまりの出来事に口を開けずにいた。
ガチャッ
静まり返っていた部屋の扉を開き入ってきた王国兵の一人。その彼が他の兵隊たちと話していると、リオンさんがその場に立ち上がる。
「俺たちにも教えてくれてもいいんじゃないか?」
入ってきた兵隊がミネルバさんたちの容態を知っているのだと考えた彼は、詳しい状態を確認したいと伝える。それを聞かれた彼らは一瞬迷ったが、何らかの意思疏通をした後にこちらに体を向ける。
「ミネルバ様、ユキノ様は体中に打撲や骨折等の重傷。ジェニー様は右足を複雑骨折していまし
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