非常事態
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れるような状態ではない。
「一夜たちはどうだった?」
腕組みをして険しい表情を浮かべるリオンさんが王国兵に問い掛ける。すると、そのうちの一人が一枚の紙を取り出し先頭に立つ。
「一夜さんはろっ骨数本と全身に打撲、イヴさんは右足を複雑骨折、レンさんは毒に犯されており現在治療中、タクトさんは毒の他にも体中に打撲が見受けられます」
「そうか」
俺たちがメルクリアスに帰った頃には、街中が騒がしくなっており、何が起きたのかと思っていたら一夜さんたちが襲撃されて大ケガを負ったらしい。
「毒まで用意していたとは・・・用意周到なことだな」
こちらも同じく険しい顔のカグラさんが、低い声でそう述べる。ただダメージを与えるだけでなく、毒まで使用してくるとは・・・まるで遭遇するのがわかっていたかのようだな。
「戦闘はするなとあれほど言っておいたのにな・・・」
長いタメ息を吐いて顔を俯かせる氷の魔導士。それを聞いた俺は申し訳ない気持ちで、いたたまれなくなってくる。
「す・・・すみませんでした・・・」
ガックリと項垂れるように謝罪の弁を述べる。俺たちも最初は戦わないようにと思っていたのに、気が付いたら行けそうな気がしてアジトの中心部まで攻め込んでしまった。
「本当だ。お前が紛らわしくなくなったのはいいが、おかげで被害は甚大だぞ」
「紛らわしくなくなったって何!?」
ひどい言われように突っ込まずにはいられなかった。まるで今までがおかしかったような言い方だけど、そんなことはないでしょ!!
「まぁおかげでローグは大喜びだが」
「喜んでない!!」
相変わらず楽しそうにからかうグラシアンさんにローグさんが怒鳴る。そういえばあの魔法はグラシアンさんが発動していたはずなのに、なんでローグさんが最初に出てきたのかな?いや、気にすると嫌な予感しかしないから考えるのはやめておくか。
ガチャッ
そんな話をしていると、全員が集まっているこの部屋の扉が開く。その開かれた扉から現れたのはウェンディとシェリアだった。
「二人ともお疲れ様!!」
「レオンの様子はどうだ?」
ウェンディとシェリアはレオンとサクラ、ラウルの治療をしていたのだが、あいつらのケガは相当なものだったため、二人でも治せるか微妙なんだよね。
「サクラとラウルはそんなにひどいケガじゃないんだけど・・・」
俺と共に行動していたサクラたちは比較的軽いケガで済んだらしい。確かに俺たちが相対した二人はパワー系って感じじゃなかったし、大ケガとまではいかないか。
「けど?」
二人は大丈夫だということで安心したのもつかの間、事態は最悪の方向へと動いていたことを知らされる。
「レオンがね、ひどい状態なの」
「レオンが?」
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