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風魔の小次郎 風魔血風録
71部分:第七話 力と力その七
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第七話 力と力その七

 それを終えて戻ろうとすると。目の前にやたらと大柄な金髪の男がいた。夜叉の学ランだった。
「御前は」
「ほう、奇遇だな」
 黒獅子だった。彼は劉鵬を見て不敵な笑みを浮かべていた。
「今度の柔道の試合では貴様が出るそうだな」
「そうだ」
 劉鵬は黒獅子の笑みに対して答えた。それとともに階段を降りて彼の前に来た。
「それで夜叉は貴様だな」
「そうだ」
 劉鵬の問いにその不敵な笑みで答える。
「八将軍の中で随一の力を誇るこの黒獅子が相手をしてやろう」
「面白い。その雑巾を着てだな」
「貴様はそのボロ布を着てだな」
 劉鵬は白、黒獅子は極めて黒に近い紫の道着をそれぞれ右肩に担いでいる。しかしよく見れば二人共白帯であるのが興味深い。
「しかし。神頼みとは風魔も情けない」
「ほう。言うな」
「夜叉にとってはそんなものは不要だ」
 はっきりと言い切ってみせてきた。
「実力があるのだからな」
「それではだ」
「何だ?」
「その左手で遊んでいるものは何だ?」
 劉鵬はここで黒獅子の左手を言ってきた。見れば肩の高さで上にさせてジャラジャラとさせている。何枚か持っているようである。
「やけにジャラジャラ五月蝿いな」
「むっつ」
「ひょっとして小銭か?」
「だったら何だ」
 少しむっとした顔で居直ってきた。
「貴様に関係あるのか」
「ない。しかしだ」
「しかし!?」
「夜叉も神頼みとはな。情けないことだ」
 今度は彼が言うのだった。楽しげに笑って。
「ふん、面白いことを言ってくれるな」
「だったらどうするんだ?」
「ここで貴様を倒してもいいんだがな」 
 不敵な笑みで劉鵬に言ってきた。
「どうする?」
「神社だ。止めておこう」
 しかし劉鵬は黒獅子のその挑発には乗らずこう返すのだった。
「神様の前だからな」
「柔道の場でってことか」
「それでどうだ?」
「よし、ならそれでいい」
 黒獅子は笑って今の劉鵬の言葉を受けた。
「それでな」
「いいのか」
「そうだ。そのかわりだ」
 口の端を歪めての言葉であった。
「試合では容赦しないぞ」
「ほう、珍しいな」
「珍しいだと?」
「そうだ。夜叉にしてはな」
 劉鵬はあえて夜叉のことを出すのだった。
「わきまえていると思ってな」
「安心しろ。夜叉は策は弄するが戦いは正々堂々と行うのだ」
「正々堂々とか」
「何故かわかるか?」
 黒獅子は劉鵬に対して言ってみせてきた。
「それが」
「自信があるとでもいうのか?」
「その通りだ。特にこの黒獅子はな」
「面白い奴だな、御前は」
「何!?」
「この劉鵬も自信があるぞ。伊達に風魔で随一の力を持っているわけではない」
 今度は劉鵬が言うのだった。や
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