暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜紺色と藍色の追復曲〜
此の時彼の場所で
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車に戻った相馬は、ドアをしっかりと閉じながら、まずは身に着けている全ての衣服を脱いだ。
手早く乱雑にひとまとめにしたそれを、後部座席の下に突っ込んでおいた、研究所などで使うような電気抵抗式の携行炉を引っ張り出し、その中で跡形もなく滅却する。
追跡用の《匂い》などの可能性も排除した男は、その様子を横目で見つつ、錠剤のような《解体剤》を水なしで口に含む。
効果は迅速だった。
身体中の体細胞が分解、溶解しはじめ、体温や血液を起因とする湯気に囲まれる中、小日向相馬は構わずに自嘲的に嗤った。
ノドどころか、そこから繋がるアゴすら不気味にぐらついている中で、それでも掠れた声で相馬は言う。
「ったく、さっすが姉妹だ。勘の鋭さが半端じゃねぇな。これがモノホンじゃない《
代替身体
(
クローンドール
)
》だって見抜いてきやがる。遺伝子レベルで同一なはずなんだがな?」
遠隔から操作できる手前、純百パーセントではないが、それでも外見上の差異はないはずだ。それでも違和感を感じるとなると。
「チッ、ヤだヤだ。身内ってのはよ」
眼球も溶け初め、人間としての輪郭も曖昧になりつつある中で、少年にも青年にも見える男は満足げに口許を緩めた。
「……じゃあな、
従妹
(
いもうと
)
」
一番嫌いな花?
そりゃ、蓮の花だな。
なぜかって?腐った汚泥を覆い隠した上で、平気な顔でお綺麗な花を咲かせてるところだよ。
――――小日向相馬
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