暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜紺色と藍色の追復曲〜
此の時彼の場所で
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驚いてしまった木綿季の顔を数秒呆けたように見ていた相馬はハッと気が付くと、誤魔化すように口許を笑みの形に歪める。

「い、や……何でもねぇよ」

「ねーソウ君。姉ちゃんから聞いたことあるんだけど、ソウ君って嘘つく時すぐわかるって言うのホントだったんだね」

「ッチ、ンなこと言ってたんかアイツ」

どこかイタズラがバレた子供のように、バツが悪そうに唇を突き出す相馬に、べ、と木綿季は舌を出す。

「ぷふふ、嘘だよーだ。そんな顔してたら誰だって分かるって」

「……だー、クソ。お前もお前で、ちょっと見ないうちに変な腹芸覚えやがって」

ふぅー、と長い吐息を吐き出した相馬は、躊躇うような一拍を置いてこう切り出した。

「……なぁ、木綿季。お前、ウチの親、覚えてっか?」

「??」

変な訊き方だなぁ、と少女は首を傾げる。

相馬の親――――イコールで蓮の両親は、家族ぐるみでよく交流していたこともありよく覚えている。

いい意味で、平凡な家庭だった。

線が細い父親と、穏やかな母親。時には厳しく、時には優しく、従姉である自分も実の子供のように構ってくれた。

幼い頃に亡くなった二人の葬儀ではわんわん泣きじゃくったのは辛い思い出だ。

木綿季の母親とは違い、カトリック信徒ではなかったために、この墓地には埋葬されていない彼らの墓のことを脳裏に思い描きつつ、木綿季は怪訝げに眉を顰めた。

「そりゃもちろんだけど……、何?ソウ君、頭でも打ったの?」

「……いや、……そうか。俺はな、覚えてねぇんだ」

「は?」

今度こそ本気で木綿季は眉丘を寄せる。

木綿季が覚えている小日向家の今は亡き両親の顔を、実の子供である相馬が覚えていないというのはどういうことだ。

同じ子供でも、蓮は違う。まだあの時は幼稚園低学年とかそれくらいだった気がするから、もしかしたら忘れているという理由も成立するかもしれないが、相馬の場合はそれすらも通じない。

「写真を見りゃ、ああこういうツラだったなって思い出せる。けどな、そんな人達と住んでいたっつー記憶が、希薄というか……んー、薄いんだよなー」

「ちょっと、大丈夫なの?」

首を捻る相馬に、堪らず心配そうな声をかける。

だが相馬は軽い調子で手を振り、笑った。

「大丈夫だよ。現に、こうして五体満足でピンシャンしてんじゃねぇか」

そう言って彼は笑う。

だが、その言葉にどこか引っかかりを覚えた木綿季は、SAOでの二年間を生き残って萌芽した《天才》の勘に導かれるように言葉を紡ぐ。

「本当に?」

「あ?……オイオイ、木綿季――――」

違う、と少女は言った。

なんだかおかしかった。

木綿季は最初、その《違和感》が
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