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魔法少女リリカルなのはStrikerS 前衛の守護者
第三十一話 次元漂流者
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もかかわらず、アスカはどこか他人事のように話す。

「どのくらい、リハビリに時間がかかったんだ?」

ヴィータが促す。

「発見されてから約半年……つまり、オレは1年間ミッドに居続けた訳です」

「1年って!」

「そんなに……」

なのはとフェイトの声には、悲しそうな響きがあった。

9歳の子供が何の知識もなく次元漂流して半年の間、誰もいない密林地帯で生き抜き、さらに半年の間、家に帰る事ができない。

どれだけ心細かっただろうか。

ヴィータ、シグナム、シャーリーも声を出せないでいた。

「次元震があれば発見も早かったんでしょうけどね。結局オレは1年間ミッドにいた訳です。

色々管理局が動いてくれて、やっとオレの出身地が分かって、帰れる日がきました」

その時、アスカは苦しそうに眉を寄せた。言葉を切り、大きく息を吸う。

「管理局員に付き添われて、オレは家に帰りました」

「そこで、お母さんとお父さんに会えたんだね」

「…………会えなかったよ。家には誰も居なかった」

シャーリーの言葉に、アスカは違うと言った。

「え……」

なぜ?とシャーリーが聞き返した。

「オレが次元漂流をしてから、父さんと母さんは色々探し回ったらしい。でも、見つからない。

それでも毎日の生活はある訳だから、父さんは仕事を続けながらオレを探していたらしいんです。

母さんも1日中家にいて、何か連絡が有ればすぐに動けるようにしていたらしいんですが……」

アスカの息が乱れる。落ち着こうとしているのか、何度も深呼吸を繰り返す。

「アスカ、大丈夫?」

心配したフェイトが近づこうとしたが、

「大丈夫です」

アスカはそのまま話を続けた。

「半年間、そんな生活をしていたからなんですかね。父さんは……赤信号の横断歩道を渡っている時に、車に跳ねられたんです」

「「「「「!!!」」」」」

「集中力が切れていたんでしょうね。信号に気づかず、即死だったそうです。母さんも……」

「アスカ!辛いなら話しちゃダメだよ!」

たまらずシャーリーがアスカに駆け寄って肩を掴む。

「いいんだ、シャーリー。もうここまで言ったんだ。最後まで話させてくれよ」

弱々しく笑うアスカ。

今まで見た事のない、儚い笑みにシャーリーは涙ぐむ。

「で、でも!」

「いいから座れよ」

アスカに言われ、シャーリーは仕方なく席に戻る。

「父さんが事故で亡くなって、それで限界がきちゃったんでしょうね。後を追うように、母さんは自分で……です」

静まりかえる隊長室。

アスカに何て声を掛けていいのか、誰も分からないでいた。

「……いま話している事は、後
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