前振り魔術師と説教刑事
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が、それをひとまず置いておいて私が尋ねると、若宮分析官はチョコレートを摘んで口の中に入れた。
「奴ら、聖杯戦争より、その過程で発生するテロが目的なのよ」
現政権と米国大統領の友情と日米蜜月は大陸国家である中国には看過できないものだ。
まだ、反日政策と国内大陸派の衰退が彼らを焦らせていたのは言うまでもない。
「テロの責任を取らせて現政権を退陣に追い込むですか」
チョコを美味しそうに食べていた若宮分析官が真顔になって私を呼び寄せる。
そして、耳元で爆弾を炸裂させた。
「絵梨ちゃん。
これ極秘だからね。
この件、総理の耳にも入っているから。
選挙も近いし」
唖然とする私に、若宮分析官がため息をつく。
政権の支持率は構造改革を推進しながらもその内部の反対派の抵抗に手間取って伸び悩んでおり、野党の勢いが増していた所だった。
そして、この年の夏には参議院選挙が控えている。
これ以上の失点は政権の致命傷になりかねなかった。
「どこもかしこも権力争いですか……」
「そんなものよ」
えらくでかくなった件に私も苦笑するしかない。
戦争なんてものはいやでも政治がからむものなのだ。
なお、第四次聖杯戦争後に行われた参議院選選挙でも諸々の対応が後手に響いた事によって連立与党が敗北に追い込まれ政権を追われることになった。
ピンポーン♪
ドアホンのカメラで確認すると客人が来たみたいだ。
「さてと。
リラックスもしたし、そろそろ行きましょうか」
「ええ。
折角来ていただいたのですから、おもてなしはしておきましょう」
永田町近くの神奈の高級マンションの最上階。
純粋な拠点としてのここにお客様をご招待という訳だ。
一応招待状は出したのだが、来たのは三人。
間桐慎二、衛宮士郎、遠坂凛である。
「いらっしゃい。
とりあえず適当に座って頂戴。
お茶と茶菓子を用意させるわ。
毒は入っていないから安心して」
まったく安心できない一言を言って場をなごませるけど、だれも笑わなかった。
小粋なジョークなつもりだったのだが。
「お招きいただきありがとうこざいます。
できるならば、このような場所に私達を呼んだ理由をお教えいただけると嬉しいのですけど!」
こめかみに怒りマークがつきそうな地声で遠坂凛が作り笑顔で応じる。
まぁ、聖杯戦争が始まったと判断して色々動こうとした矢先の呼び出しである。
気持ちは分かんなくもない。
お茶を入れ、茶菓子を用意して、三人と面談するように私と若宮分析官が座る。
「ちょっと待て!遠坂。
俺達はこの人たちのことを知らずに来ているんだぞ。
紹介ぐらいしてくれ」
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