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真田十勇士
巻ノ八十七 佐々木小次郎その十

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「そのこと言っておくぞ」
「わかっておる」
「誰が死ぬものか」
「わし等は共に死ぬと決めた」
「殿と同じ死に場所じゃ」
「それは決めておるからな」
 だからこそというのだ。
「よいな」
「わかっておるわ」
「では死なぬ為にも」
「より強くなるか」
「絶対にな」
 こう彼等に言うのだった。
「よいな」
「そうじゃな、殿と共に戦いたい」
「そうしたいのならな」
「わし等も強くならねば」
「絶対にな」
「そういうことじゃ、では飯にするか」 
 根津はこの話もした。
「そろそろ昼飯時じゃ」
「うむ、殿のところに行って」
「そうするか」
「やはり飯を食わねばな」
「どうにもならぬわ」
「そうしようぞ」
 こうしてだ、彼等は幸村のところに行って飯を食った。この日の昼飯は米に稗や粟それに山菜やら魚の肉を入れた雑炊だった。
 その雑炊を食いつつだ、幸村は話した。
「豪傑の方々に会うにしても」
「はい、天下にですな」
「豪傑の方はそれぞれおられますな」
「だからですな」
「天下を巡ることにもなる」
「そうなのですな」
「そうじゃ、例えば前田慶次殿は今は米沢におられる」
 かつて幸村が会った天下無双に傾奇者はというのだ。
「あの地にな」
「そういえばあちらに迎えられたのですな」
「上杉家の方に」
「上杉家が大幅に禄を減らされてから」
「直江殿にお声をかけられて」
「米沢に入られましたな」
「頭を一度剃られたそうじゃな」
 慶次のこの話もだ、幸村はした。
「しかしじゃ」
「今はですな」
「髪の毛も戻られて」
「前の様にですか」
「傾いておられますか」
「その様じゃ、そして後藤殿はな」
 後藤又兵衛、彼はというと。
「近頃ご主君の黒田殿と特に折り合いが悪く」
「前からそうした話はありましたが」
「近頃ですか」
「特にですか」
「折り合いが悪く」
「それで、ですか」
「出奔するやも知れん」
 そうした話が出ているというのだ。
「どうもな」
「それは大殿からですか」
「聞いたお話ですか」
「父上も色々と天下を見ておられて拙者もな」
 幸村自身もというのだ。
「調べておってな」
「前田殿や後藤殿のことを」
「ご存知なのですか」
「そうじゃ、お二方のことは父上からではなく拙者が調べてじゃ」 
「ご存知になった」
「そうなのですか」
「うむ、わかった」
 実際にというのだ。
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