第56話『適応』
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「フラグの力って凄い」
前方から声を掛けてきたのは、魔術部部長こと黒木 終夜。狙われていた訳でもなく、ただのエンカウントだろう。運が悪い。
「ん? 三浦、隣の娘って・・・」
「はい。この前話した結月です」
「あーなるほど。生で見ると予想以上にファンタジーな見た目してるな」
結月は銀髪蒼眼という、外人顔負けの容姿。言わずもがな、廊下を歩いているだけで人の目を引いていた。
事前に知らせていた部長でさえ、驚きの表情を隠せずにいる。
「ハルト、この人は…?」
「確か話したよな? この人が部長だ」
「え!? じゃあアナタが、ハルトに魔法を教えた人ですか?!」ズイッ
「ん!? ま、まぁそうだな…!」
結月が興味津々な様子で、終夜に詰め寄る。
予想外の出来事に、晴登は驚くしかない。
「ぜひ、ボクにも魔法を教えてください!」
「わかった! わかったから静かにしてくれ!」
憚らなくてはいけない内容なのに、周りに聞こえるほどの大きな声で話す結月を、たまらず終夜は制止する。
何だ何だといった様子の聴衆だが、詳しくは聞こえてないようだった。
「よし。だったら放課後、三浦と一緒に魔術室に来い」
「ボクもミウラですk──」
「すいません部長。詳しい事は後で話します」
「お、おう、わかった」
話がややこしくなりそうだから、晴登はひとまず退散を図る。
どうやら、今日は忙しい一日になりそうだ。
* * * * * * * * * *
「「こんにちは」」ガラッ
「よし、来たな」
放課後、魔術室を訪れた晴登と結月を、終夜は出迎えた。部室にはもう全員が揃っている。
とりあえず、晴登は粗方の話を済ませた。
「…見れば見るほど不思議な娘ね。そして可愛い」
今発言したのは、魔術部副部長である辻 緋翼。
未だに目を疑っているのか、時折目を擦る仕草を見せる。
「んじゃま、早速測定といきますか」
部長はそう言って、魔術測定器を用意し始める。見るのは三度目だろうか。相も変わらず地球儀の様なフォルムだ。
魔術を教えるなら、まずは素質があるかを確かめるのが鉄則。
「ほいじゃ、ここに手を・・・」
慣れた口調で終夜は説明していく。使う機会は少ないはずなのになぜだろうかと思うが、黙っておくことにした。
数十秒の静寂。機械音が虚しく響いていく。
──突如、青い光が放たれた。魔術の素質を感知した証拠だ。結月には当然有ると思っていたから、驚くことはない。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ