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非日常なスクールライフ〜ようこそ魔術部へ〜
第56話『適応』
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「フラグの力って凄い」


前方から声を掛けてきたのは、魔術部部長こと黒木 終夜。狙われていた訳でもなく、ただのエンカウントだろう。運が悪い。


「ん? 三浦、隣の娘って・・・」

「はい。この前話した結月です」

「あーなるほど。生で見ると予想以上にファンタジーな見た目してるな」


結月は銀髪蒼眼という、外人顔負けの容姿。言わずもがな、廊下を歩いているだけで人の目を引いていた。
事前に知らせていた部長でさえ、驚きの表情を隠せずにいる。


「ハルト、この人は…?」

「確か話したよな? この人が部長だ」

「え!? じゃあアナタが、ハルトに魔法を教えた人ですか?!」ズイッ

「ん!? ま、まぁそうだな…!」


結月が興味津々な様子で、終夜に詰め寄る。
予想外の出来事に、晴登は驚くしかない。


「ぜひ、ボクにも魔法を教えてください!」

「わかった! わかったから静かにしてくれ!」


(はばか)らなくてはいけない内容なのに、周りに聞こえるほどの大きな声で話す結月を、たまらず終夜は制止する。
何だ何だといった様子の聴衆(オーディエンス)だが、詳しくは聞こえてないようだった。


「よし。だったら放課後、三浦と一緒に魔術室に来い」

「ボクもミウラですk──」

「すいません部長。詳しい事は後で話します」

「お、おう、わかった」


話がややこしくなりそうだから、晴登はひとまず退散を図る。

どうやら、今日は忙しい一日になりそうだ。





* * * * * * * * * *

「「こんにちは」」ガラッ

「よし、来たな」


放課後、魔術室を訪れた晴登と結月を、終夜は出迎えた。部室にはもう全員が揃っている。

とりあえず、晴登は粗方の話を済ませた。


「…見れば見るほど不思議な娘ね。そして可愛い」


今発言したのは、魔術部副部長である辻 緋翼。
未だに目を疑っているのか、時折目を擦る仕草を見せる。


「んじゃま、早速測定といきますか」


部長はそう言って、魔術測定器を用意し始める。見るのは三度目だろうか。相も変わらず地球儀の様なフォルムだ。

魔術を教えるなら、まずは素質があるかを確かめるのが鉄則。


「ほいじゃ、ここに手を・・・」


慣れた口調で終夜は説明していく。使う機会は少ないはずなのになぜだろうかと思うが、黙っておくことにした。



数十秒の静寂。機械音が虚しく響いていく。



──突如、青い光が放たれた。魔術の素質を感知した証拠だ。結月には当然有ると思っていたから、驚くことはない。




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