第56話『適応』
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く付けてしまったのだ。
正直、問われると答えに困る。
そんな晴登の様子を見て、二人はやれやれと言及を諦めて、後ろの野次馬に混ざった。
「・・・あれさ、柊と互角の容姿だよな」
「あぁ暁君。んん…まぁそうかも」
更に、伸太郎にも声を掛けられる。彼もまた、結月の容姿に驚きを隠せない一人だった。
確かに、狐太郎も目立つ。けれども、結月も目立つ。
「波乱の予感しかしないぜ…」
彼は面倒くさがるように呟いていた。
同調するように、晴登も苦笑い。
「ねぇハルト!」
「何だ?」
最後に声を掛けてきたのは、話題の中心である結月。
彼女の表情は生き生きとしており、一体何を言うのかと晴登は問う。
「学校ってさ、楽しいね!」
満面の笑みで彼女は言った。晴登は思わず笑みを零す。
なんだ、そんな事か。それは当たり前だ。友達と一緒に話したり、遊んだりするのは楽しい。
慣れさせるため、と急遽転入させた訳だが、失敗では無かったらしい。まさに御の字。
「──気になったけどさ、二人は一緒に住んでるんでしょ? もしかして、そういう関係だったりするの?」
「っ!!」
結月の発言で気を許した直後、避けては通れないと考えていた関門が立ちはだかる。
そういう関係とは言わずもがな、恋人同士という意味だろう。晴登自身はそうではないと否定するが、生憎結月は・・・
「結月ちゃんは三浦君の事どう思ってるの?」
「え、大好きだけど?」
「……あ」
この後、クラスが騒然となったのは言うまでもない。
* * * * * * * * * *
「なぁ結月、もう少し自重してくれてもいいんじゃないか?」
「どうして? ボクは事実を言っただけなのに」
「その気持ちは嬉しいけどさ、その・・・もう少し控えていこう」
廊下を一緒に歩きながら、晴登は結月に告げた。
現在は昼休み真っ只中。結月に学校案内をしようということで教室を出て・・・というのは建前であり、クラスから一刻も早く逃げ出したかったというのが本音である。
実は、先ほどの騒動は依然終わりを見せておらず、皆が結月や晴登を質問攻めにしていたのだ。とてもだが、対応はできない。
「今ごろ捜されてそうで怖いんだけど。明日から学校行きにくいじゃん…」
好奇心は人間の性。だから、彼らがクラスメートの情事を追い求めるのも仕方のないことだ。
しかし、追われる方にとっては迷惑な事であるということを忘れてはいけない。
せめて、昼休みいっぱいは逃げ切らなければ・・・!
「よう三浦」
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