外伝
外伝《絶剣の弟子》I〜rising hope〜(外伝最終話)
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るやつが居て、置いて行ったなら貰っても良いかっていう確認だ」
「な……」
あれも一種の伝説級武器だ。それを易々と手放したくはない。しかし、一刻も早く逃げ出したい今は、そんなことも言っていられない。
「あ、ああ!構わんとも!その代わり、私をこれ以上追うのはやめて頂きたい!戦うのは苦手なんだ!」
「それならそれで良いよ。俺もこんな追い剥ぎのようなマネは好きじゃないしな……」
「う、うむ。ではな」
狙い通りあっさりと通される。しかし、先ほどまでとは変わって恐怖から解放されたウィランの飛び方には余裕があった。
しかしそこで再び黒衣の剣士が言葉を発する。
「ところであんた。戦闘が苦手という割にはその剣、使い込んでるみたいじゃないか」
「な、何を……」
この伝説級武器の銘を《ダーインスレイヴ》と言いう。その能力は『斬りつけた相手のステータス値を奪って自分の能力値を上げる』というものだ。
「あんたのところの商人のギルド員、異様にステータス値が低いって話だが?」
「し、知らん!もう良いだろう!私は行くぞ!」
ウィランはギルドを結成する時、数十人の商人たちを騙して襲撃し、不意打ちで全員からステータス値を奪った。そうすることで抵抗する力を奪い、返して欲しくば自分のために働くよう強要した。
従わない者たちも、初期値より低くなったステータスでは何とも出来ず消えて行く。どちらにしろ、商売敵が居なくなって得をするのはウィランだった。
「所有者がリリースするか、その剣が破壊されればそれらは元にもどるんだったな」
背後で剣が抜かれる音がする。背筋が凍り、油の切れた機械のようにぎこちなく振り返る。
ウィランが戦闘が苦手というのは本当のことだった。数十人分のステータス値を搾取し、強化されたダーインスレイヴは比類無き性能を誇っているが、その扱い手が素人では宝の持ち腐れだった。
「適当なことを言うのもいい加減にしたまえ!それに、もし私がそんなことをしていようとも、この伝説級武器を壊すことなど出来はしない!」
「そいつはどうかな」
黒衣の剣士が左手に携えるのは黄金の直剣。その銘をウィランはよく知っていた。そして連鎖的にその持ち主の名も思い出す。
「《聖剣エクスキャリバー》……黒ずくめか……!」
「ああ、そうだ」
話は終わりとばかりに黒ずくめは腰に帯びた剣を狙って来る。必死の思いで飛び下がり、黒い刀身を抜く。
「も、もう知らんぞ!この剣は抜いたら最後、敵を倒すまで力を増幅し続けるっ!」
「そりゃすごいな」
黒ずくめのエクスキャリバーを
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