外伝
外伝《絶剣の弟子》I〜rising hope〜(外伝最終話)
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とう!」
と言うなり、すぐログアウトしてしまう。きっと現実世界のレイさんの様子を見に行ったんだろう。具合が良くないのに、大分無茶をしていたみたいだし、何ともなければ良いのだが。
通常、フィールドでログアウトしたアバターはしばらくそこに留まり、10分程で消える。戦後処理は多分もっとかかるし、俺は特にやることも無いので少しここで休ませて貰うことにした。
やがて、蘇生や回復を済ませたリズさんたちが戻って来て同じように寛ぎ始める。
「皆さん、すみません……なんか、結局リーダーっぽいこと出来なくて」
「今回は状況が状況です。仕方ないかと」
「まーでもライト、最後凄かったじゃない」
「あれは、なんか土壇場で新しいスキルが」
「へー。盾系のスキルであんな強力なやつが」
「はい。《神聖剣》って聞いたこと、あります?」
途端、周囲に沈黙が降りる。リズさんやシリカさん、エギルさんがこっちをじっと見たまま停止し、リーファさんやシノンさん、セラさんは停止とまでは行かないが困惑の表情を浮かべている。
「あの……?」
突然現れたそのスキルの正体を、意味を、俺が知るのは少し後の話ーーー
《商会同盟》の頭目であるウィランは顔を歪ませながら竜の谷を自身の種族領であるサラマンダー領に向けて飛翔していた。屈強な戦士然としていることが多いサラマンダー族だが、ウィランはどちらかと言うと、丸っこい。それなりに愛嬌のある顔をしていたので、体型には目を瞑り普段は商人のロールプレイグをしていた。
ALOを始めて1年で《商会同盟》を結成し、ALO全土に展開した。《ドラウプニル》や腰に帯びた伝説級武器も自身で手に入れたのではなく、その財力によるものだった。
今回の《狩猟大会》や《オラトリオ・オーケストラ》襲撃は最近力を付けて来て、商売の障害になって来た連中を叩いて均すだけのことだった。プレイヤー個々の力など問題にならない、質と量の暴力で叩き潰すはずだったのだ。
しかし、量で勝ることは出来ても質は届かなかった。というよりは、奴らの質というものが、非常識なまでに高かった。
(いや、あれは……)
質が違ったとか、そういう次元の話では無いのかもしれない。虎の子であった邪神級ボスモンターもあっという間に無力化され、部下の精兵たちはたった数人にやられた。
「分からない、奴らを叩き潰せるイメージが全く湧かないって顔だな、あんた」
「??」
行く先に立ち塞がったのは黒衣の剣士。ブライトレッジの角をへし折ったやつだった。
「な、何か用か!」
「大した用事じゃ無いさ。あのボスモンターにかかってる首輪《ドラウプニル》だったか?アレを欲しがって
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